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 実践観察の指針:魚類マクロ組織標本の観察(バーチャル顕微鏡観察)

 《関連サイト:組織観察自主トレへ、側面俯瞰図による体構造の確認と組織観察

<デジタル顕微鏡観察のマニュアル:組織像観察のコツ>

はじめのコメント :ここでは下記項目(A-E)について解説を行う。
  (補足:タブレット端末実物「組織標本」の所在 も参照)

[A] デジタル顕微鏡観察法:バーチャル顕微鏡観察のサイト構成やパネル操作の説明。

[B] 組織染色標本とは。 (体の薄切り2色で染めるとどうなるか?)
  B1. はじめに:組織染色標本とは?、 
  B2. 表:HE染色原理と特徴、  B3. 解説:HE染色法の原理と特徴、  
  
B4. HE染色の器官・細胞・組織はどう見える:事例 MTZ-1など

[C] 実践観察マニュアル「マクロ組織の見方・考え方の概要(組織観察のコツ)。
  C-1.材料と標本作成、 C-2.体の座標「体部・体軸・体断面」、 
  C-3.体の中身「2系6要素-11器官系」、  C-4.体の隙間「体腔管腔その断面」
  C-5.細胞の基本的性質、 C-6.シート構造とその極性、  C-7.結合組織、 C-8.その他

(上記項目「マクロ組織の実践観察法」の別様テキストは「ここ」をクリックして参照)

[D] 組織像観察とは?(認知する/観察するとは)。

[E] 本編「魚類マクロ組織」に関わるリンク先一覧

 なお、今現在、タブレット端末やインターネットブラウザの差異により、拡大縮小が可能なデジタル組織像(観察サイトの主画面)が表示されない、あるいは、操作が困難な場合が生じる(こともある)。その対応策は次の補足1とする。
 また、デジタル組織像に採用した実物標本に関連した利用法や他のウェブテキストとの連携法についても下記の補足2に記す。

補足1 .タブレット端末における使用制限

 今現在(H24年)、 iPadなどのタブレット端末、更に、SafariやFire FoxなどのWebブラウザでデジタル顕微鏡像のサイトに移動しても、画像が表示されないことがあります。その場合はWebブラウザ「Puffin」などを使用すると表示されるようになります。Puffinのマウスパッド機能を利用するとiPadでもかなり自由な操作が可能です。但し、解説用グリッドやスケールのボタンは使用できません。また、それらのボタン [ON] を一度クリックすると、その後、画像の拡大縮小操作が難しくなるので、その時はボタン[Back]を経由し改めて表示します。

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補足2.デジタル組織像に採用した実物標本について

1) デジタル顕微鏡観察に採用した組織画像の「MTZ-1」は、あるニジマス1個体を薄切4μmで約1000枚の連続切片とした1枚(プレパラート)である。その連続切片は、10枚間隔で取り上げ、約100枚の間欠連続標本として再構成した。つまり10セットを作成した。その内8セットは全国の主要な生物教育研究会(都生研など)に既に配布済みである。つまり、MTZ-1に近接した組織標本はそれら研究会や教育センターなどが保存している(はずである)。MTZ-1の正式な標本番号が「702-J-81」であり、よって、保存先においてはこの番号の近接(番号)標本を実際に観察することが可能である。

2) デジタル画像「MTZ-2」および「MTZ-3」は本ウェブテキスト「実演生物学」の主要な話題材料である。特に別のサイトで取り上げた「マクロ組織の話し合い」では、それらの画像が主役であり、それらをもとに「動物体の見方・考え方」について幾つかの基本的な視点から取り上げている。

3) MTZシリーズの画像も含め、採用した拡大縮小が可能なデジタル画像の実物標本(プレパラート)は、遠隔地からパソコン操作で直接インターネットを介し、当方所在の顕微鏡にアクセスすることが可能である。つまり顕微鏡の遠隔操作とその標本観察である。これまで通り、生物系教育担当者などのリクエストには、必要に応じ、連絡に応じて利用(対応すること)が可能である。
(問い合わせ連絡は直接メールで羽曽部宛に、アドレスは hasobe@kaiyodai.ac.jp )。

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[A] デジタル顕微鏡観察法

 本編で扱う主要な組織像(MTZシリーズ)は、実物の組織染色標本(組織プレパラート)を異なる顕微鏡倍率でデジタル撮影し、再構成の後、以下に示す5種類の画像サイトとして再構成したものである。それぞれはその用途からリンクしているので、全体として「魚類マクロ組織のデジタル顕微鏡観察」としてシステム化した。

1)導入画像サイト:Top Pageのサムネール画像(観察したい画像の上をクリックするとリンク先の観察サイトへ移動する)。

2)低倍率観察サイト:導入画像のリンク先「観察サイト」の主画面。拡大縮小などが可能となる。

3)領域選択サイト:観察サイトの下にある主画面のコピー画像(特定部位に「枠番号」を付した画像)。高倍率で拡大観察したい時に枠番号域をクリックし、その高倍率観察サイトへ移動する。

4)高倍率観察サイト:3)の領域選択画像で移動した観察サイトの主画面。高倍率で観察するための画像。細胞レベルの顕微鏡観察が可能となる。

5)組織像解説サイト:観察サイトの画像に組織学上の名称などを付した画像(拡大縮小が可能)。主画面の下にあるボタン[Legend]により移動し閲覧する。

(その他のサイト:マクロ組織の話し合い、迷路の歩き方、体の基本10項目etc)
            ↑              ↑
 1)導入画像→ 2)低倍率観察 →3)領域選択→ 4)高倍率観察
            ↓              ↓
         5)組織像解説サイト      5)組織像解説サイト

 なお、観察サイト主画面はパネル操作などにより拡大縮小や全方向移動が可能である。つまり、バーチャル顕微鏡観察を可能とする。それらの概要(マニュアル)は次を参照。

パネルボタン:「観察サイト」の主画面の下には、移動用のボタン[Top Page]、[Back]、あるいは、グリットボタンやスケール表示ボタンが配置されている。ボタン[ON]・[OFF]で表示/非表示を行う。グリッドやスケールを表示したまま倍率変更を行う時は主画像下の画像操作パネルで行う。画面クリックによる操作は無効になる(かも)。

その他の主要なリンク:組織像の観察つまり「体構造の考え方」は別様のテキスト、例えば「マクロ組織の話し合い」などと深く関連する。そのためパネル部にはすぐ移動が可能なように「マクロ組織の話し合い」の文字列を配置した。移動先から戻る時、そのサイトにボタン[MTZ]があれば、それを利用する。

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[B] 組織染色標本

B-1.はじめに:組織染色標本とは

 組織標本/組織染色標本(あるいは組織プレパラート)とは、動物体のある部分(体組織)を透過型光学顕微鏡で観察ができるように調製(作成)した顕微鏡標本である(体の薄切りをスライドガラスに貼付け染色したもの)。「組織標本作製法」と呼ばれる伝統的技法で作成されるが、先端科学がリードする現状にあっても個体生物学に不可欠な研究材料であり、その観点から極めて重要である。「伝統的」というのは、時にその製作に「慣れやコツ」が必要であるという意味/ニュアンスである。
 通常「固定、包埋、薄切、染色」の4工程に区分され作製される(が本当はもう少し複雑である)。最もポピュラーな標本は「パラフィン包埋・ミクロトーム薄切・ヘマトキシリン/エオシン(HE)2重染色標本」であり、単にHE染色標本と呼ぶ。切片はおおよそ細胞の大きさ(厚さ)、つまり5μm程度の薄さを目安とするが、専門的には更に薄い標本も作成される。
 そもそも体の薄切りをそのまま観察するとほぼ無色であり顕微鏡観察には適さない。そこで染色を行う(組織の成り立ちを観察しやすくする)。実際には各種の染色法があるが、基本的には一般(普通)染色と特殊染色に区分される。一般染色法のヘマトキシリンとエオシンによる2重染色法(HE染色と略す)は、多くの組織染色法の中では方法的には単純であるが、結果的には組織が過不足なく染め出されるため「情報量が多い染色法」として最も重要な染色法である。本編が扱う組織像のほとんどがHE染色である。
 特殊染色法(アザン、ズダン、PAS(パス)、AB-PAS染色など)は細胞内外の特異的な物質のみを選択的に染め出す方法であり、重要であるが、HE染色と併用することにより効果的な観察判断が可能となる。
 HE染色で組織はどのように染まるか、なぜ染まるか(HE染色原理と特徴)については下記を参照。

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B-2.表:HE染色法の原理と性質

ヘマトキシリン:青色液

エオシン: 赤色液

物性

好酸性色素/マイナスイオンに結合(塩基性色素)であり、酸性基に反応し結合する。植物由来の色素(青色)。

好塩基性色素/プラスイオンに結合 (酸性色素)であり、塩基性基に反応、結合する。合成色素/赤インクの色。

結合

陰性荷電部に結合:リン酸基、カルボキシル基、硫酸基など

陽性荷電部に結合:タンパク質のアミノ基など

青っぽく染まる。

赤っぽく染まる。

細胞

核/核小体が染まる:核酸/リン酸基などのため。細胞膜はシアル酸などを含む糖タンパクが表面を覆うため青っぽく染まる。

細胞質が染まる:タンパク質アミノ基などのため赤っぽく染まる。

組織

細胞の割合が多いところ(胸腺、脾臓、肝臓など)や軟骨(コンドロイチン硫酸などを多量に含む)

コラーゲン繊維が多い結合組織や筋肉。硬骨は脱灰処理によりCaが除かれ、基質はコラーゲンのためエオシンの色を取る。

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B-3. HE染色法の原理と特徴(体の薄切り2色で染めるとどう見える/何色か)

  1. ヘマトキシリン:水溶性色素「ヘマトキシリン」は、酸性物質(核酸のリン酸基など)に結合し、その部分を青っぽく(青紫に)染める。 植物由来の色素。
  2. エオシン:水溶性色素の「エオシン」は、塩基性物質(蛋白質のアミノ基など)に結合し、その部分を「赤っぽく」染まる。 赤マジックペンの赤い色素。
  3. 細胞:「」は核酸などの酸性物質(リン酸基など)が多いため、ヘマトキシリンで青っぽく(青紫に)染まる。「核小体」は更に青っぽく濃染される。 「細胞質」は塩基性物質(アミノ基など)がいっぱいのためエオシンで「赤っぽく」染まる。「細胞膜」はその表面にシアル基などを多く含む糖タンパクで覆われているため、青っぽく染まる(高倍率で観察可能)。細胞が密集したところは低倍率では結果的に「核」が密集するので(肝臓、膵臓、胸腺など)青紫に見える。
  4. 細胞層の下(ウラ側:線維性結合組織):細胞の下、つまり、ウラ側には繊維状の結合組織(コラーゲン繊維が主成分)がある。アミノ基がいっぱいのタンパク質のため、そのコラーゲン層は「赤っぽく」染まる。但し、引っぱりに強い弾性線維(エラスチン)が多いところは青っぽい。 
  5. 筋肉:筋肉は細長い筋細胞(筋繊維)の束であり、筋細胞は細胞質が大半を占めるのでその束の筋肉は「赤っぽい」。横紋筋では高倍率でその横紋が観察される。ただし、観察可能か否かは筋繊維の切り方(薄切方向)に依存する。
  6. 骨(硬骨):硬骨は「赤く」染まる。その理由は、組織染色標本の作製するプロセスに薄切を容易にするため「脱灰」というカルシウムを除く処理が含まれる。また、硬骨はコラーゲン線維を基質としてカルシウムが結晶状に結合した組織なので、脱灰後は「コラーゲン繊維」が骨の形のままに残るため。それでその骨の形をしたコラーゲンが赤く染まる。
  7. 骨の補足:動物の骨は、軟骨形成の後に成長にあわせて硬骨化する(例外もある)。稚魚の頭蓋はその典型で、多くの部分が軟骨の状態であり、下記の理由からそれらは「薄青色」に見える。
  8. 軟骨:軟骨は軟骨細胞が周囲に分泌した「コンドロイチン硫酸」などを基質として形成される。そのため軟骨には硫酸基などの酸性基が多量に含まれる。よって、軟骨は「水色/薄青色」である。
  9. 黒色色素:体内の色成分「メラニン」は黒褐色に見える。網膜や皮膚(細胞層の直下の真皮)などで観察される。
  10. 脳や神経:神経細胞の核は上述「細胞」の理由から青っぽいが、その細胞質、つまり軸索(神経繊維)は神経組織の大半を占め、それらは言わば細胞質であり、低倍率では上記の理由からピンクに染まる。神経細胞の核は時に大きい。それらが集合した部分は固有の名称や神経節(ガングリオン)などと呼ばれるが、その部分は「核」の集合部であり、よって青っぽく見える。
  11. 粘液腺:皮膚や消化管の上皮組織(細胞層)に見られる粘液細胞(杯細胞)は粘液胞(粘液が入っている部分)があるが、その粘液(ムコ多糖類)はHE染色ではほとんど染まらないため空胞に見える。消化管で粘液細胞が多いのは食道下部や胃噴門部(上部)、大腸であり、小腸は粘液細胞は少ない。
  12. 分泌顆粒:膵臓の分泌物トリプシノーゲンなどは拡大観察すると顆粒状の集合体であり、それらは赤っぽい塊として観察される。グリコーゲン顆粒が多い時の肝臓、つまり、肝細胞は顆粒が標本作製中に細胞から溶出するので肝組織はスカスカの網のような状態で観察されることもある。
  13. 血管:血管は、その内壁が極めて薄っぺらい扁平な上皮細胞(内皮細胞)で形成される。扁平上皮細胞(内皮、中皮:体腔内壁の細胞)の核はやはりかなり扁平であり、高倍率でのみ確認可能である。血管上皮層の裏側は薄っぺらい結合組織である。血管の内部には赤血球があるので、それで血管と判断する。ただし、動脈系の血管は固定時にその血液が押し出された状態で固定されるので、時として血球が見えないこともある。静脈系は血液が滞るので赤血球が多量にあるかも。とは言え、左記の様態は状況に依存する。毛細血管でも赤血球が見えるので判断できるはず。
  14. 心臓:心臓は血管内皮細胞の周りの筋肉がモリモリの小部屋から構成されたようなものであり、やはりよく観察すると薄っぺらい内皮細胞の核が確認できる。心筋の横紋の観察は400倍でも難しい。
  15. 赤血球:魚類では有核赤血球であるが、細胞質はピンクに、核は青っぽく明瞭に見える。
    ちなみに赤血球は組織観察における内部スケールの指標であり、長径は約10μm程度と考える。

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B-4. HE染色組織像:細胞組織はどう見える。

HE染色の低倍率マクロ組織像において、下記はどのような色調に染まるか:青か赤か?
(下記は、後日、事例画像をリンクする予定です)

 1)細胞の核→青、 2)細胞質→赤、 3)細胞膜→薄い青、 

 4)骨 (硬骨) →赤、 5)軟骨→水色、 6)網膜→赤青の層状、 

 7)脳脊髄→赤(部分的に青:神経細胞が多いところ)、

 8)筋肉→赤、 9)心臓→赤、 10)赤血球→赤、 11)脾臓→青、

 12)肝臓→青、 13) 脂肪→無色、 14) 鱗 (うろこ) →赤、 16)腎臓→青、 

 17) 真皮→赤、 18) 血管→赤

補足.硬骨について:骨はコラーゲン線維などの基質に骨細胞が分泌するカルシウムが結晶化したものである。組織標本を作る際には、脱灰といってカルシウムを取り除く薬品処理を行う。その結果は骨の形はそのままにコラーゲン基質が残る。染めればエオシン好性のため赤く染め上がる。但し、脊椎動物の骨化は多くが軟骨性骨化である。つまり、はじめに軟骨(水色に染まる)が形成され、その後、硬骨化する(硬骨に置き換わる)。よって、サカナの稚魚の頭蓋は軟骨が目立つ。但し、骨化にはもうひとつ「線維性骨あるいは膜骨」がある(MZT-1の頭蓋で探してみよう)。つまり、はじめから線維性結合組織で硬骨化する部分がある。多くは上記の軟骨性骨化部分の表面に存在する。例えば頭蓋の軟骨の外側には赤く染め上がる膜状の部分があるがそれが膜骨である。鰓蓋の骨や脊椎骨の表面も同様である。

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[C] 実践観察マニュアル「魚類マクロ組織の見方・考え方・進め方」

 はじめの一歩〔側面俯瞰図による体構造の確認と組織観察〕は左記文字列で移動

<はじめに>
 ここでは本編に掲載した「組織像」を観察するときの注意点や留意点を下記項目から取り上げる。
 このウェブテキストに用いたデジタル組織標本は魚類(主にニジマス稚魚)に由来する。医学生物学を基本とする本邦において、魚類は補足的な扱いであり、一般には馴染みが薄い学習対象であるが、魚類は脊椎動物の基本であり、また、各種の組織像もその成り立ちを顕示するように明瞭である。動物体の成り立ちを考察するに不可欠であり、またその基本として最適な対象である。
 とは言え「サカナとそれ以外の脊椎動物では違いすぎるのでは」という意見もよく聞かれるが、動物体の成り立ちからは「サカナもヒトも同じだよ」という視点も成り立つ。サカナとヒトは「どう違ってどのように同じなのか」の詳細は別の機会として、本節では「組織像の見方」のため、その「同じ」という観点を意識しながら、以下の項目(基本理念)からその概要を記す。
 つまり、魚類マクロ組織の観察に必要な基本的な視点・留意点であるので、デジタル組織画像を観察し戸惑った時は、またはその前に、下記項目(C1-C8)を参照してほしい。なお、下記解説に事例を求める時は「MTZ-1」の画像とする。また、下記項目の解説には別様のテキストなどのリンク先が付してあるので、必要に応じ、詳細を求める時はリンク先テキスト等を参照し確認してほしい。全体としてのリンク先は「マクロ組織の話し合い」と「体の基本10項目」である。

 C-1.材料と標本作成、 C-2.体の座標「体部・体軸・体断面」、 

 C-3. 体の中身「2系6要素-11器官系」、  C-4.体の隙間「体腔管腔その断面」

 C-5. 細胞の基本的性質、 C-6.シート構造とその極性、  C-7.結合組織、 C−8.その他

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C-1.材料と標本作成について

キーワード:ニジマス稚魚、組織染色標本、パラフィン包埋4μm薄切HE染色標本、人為的断裂

 マクロ組織像MTZシリーズの由来は、サケ科魚類ニジマスの稚魚(全長3cm程度)である。固定には「ブアン固定液:ホルマリン・ピクリン酸・酢酸の混液」を用いた。パラフィン包埋・4μm薄切・ヘマトキシリン/エオシン(HE)2重染色標本である(HEはヘマトキシリン・エオシンの略)。作製法は下記のリンク先「組織標本作製法」を参照。
 なお、実物標本(プレパラート)は組織標本作製技術から言えば上出来とは言いがたい部分も多々含まれている。例えば、巨大な試料(数センチの材料)を用いたため、また固定処理の影響から「組織構造の剥離や断裂」、つまり、組織像に見られる本来は体内にない隙間(何もないところ)が、数多く見受けられるので留意してほしい(注意してほしい:すいません)。
 固定とは、体内の成分(例えばタンパク質など)からなる立体構造をそのまま維持するための処理である。アルデヒド基を含むホルマリンはタンパク質に多量に含まれるアミノ基などとランダムに結合する(例えばシッフ結合)。つまり、立体的なポリペプチドがいたるところで近接する部分と結合(橋渡し)するというような具合である。その結果、タンパク質は立体構造が維持される。しかし、固定とはつまりランダム結合による蛋白凝集性もあるので、適切に行わないと、よって組織内に断裂が生じる。ちなみに、蛋白が凝集するとその部分は溶液の透過性が低下する。内部に固定液が浸透しにくくなる。よって、用いる組織試料はできるだけ小さい方が良い。ブアン固定液は組織浸透性が高いピクリン酸を用いるので、浸透効果を高めながら固定することに意味がある。酢酸は酸であるので、カルシウムを除く脱灰効果を示す。上述した「組織の人為的な剥離断裂」については下記[C-3]でも補足する。

 *リンク先の事例・・・・「組織標本作製法」:参照するときは文字列をクリック。

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C-2.体の座標「体部・体軸・体断面」について

キーワード
:頭部・胴部・尾部、背側・腹側、頭尾軸・背腹軸・左右軸、正中面・縦断面・横断面

 サカナも含め動物体にはその姿・形を見るときには次のような取り決めがある。つまり「体部位・体軸・体断面」である。どんな動物にも「頭部・胴部・尾部」、更に「背側・腹側・右左側」がある。また、「頭尾軸・背腹軸・左右軸」、「正中面・縦断面・横断面、など」という取り決めがある。サカナとヒトの形は違いすぎるように見えるが、「同じ」つまり「原型」から捉える(考える)と都合が良い。
 例えば、マクロ組織を観察する時、胸鰭(肩帯)は前肢に、腹鰭(腰帯)は後足に相当する(と考える)。例えば、どんな動物でも肛門から後ろの方が尾部である。よって、組織像を観察し「ここはどこか?」と悩むとき、自分の体ではどこにあたるかを考えてみることは重要である。
 心臓は発生初期には頭部にあるが、形態形成が進み「首」が生じるとき下(後方)に下がってくる(移動する)が、それでも前足の付け根付近であることに変わりはない。心臓はサカナも含めどんな動物でも前肢付け根の中央腹側付近にある。サカナは左前頭でまな板の上に平たく置くが、それは体が扁平なためで、サカナの内部を腹側から見ると内部構造の配置はかなりヒトと同じになってくる。
 なお、立体に対する上記のような区分(考え方/留意点)は、体内の細胞レベルの組織像に対しても有効である。例えば、体内には消化管・血管・尿細管のような「チューブ構造」があるが、それらを切断すればその断面はいろいろな形状を示す。例えば、管の長軸方向の断面「縦断面」、輪切りの横断面、その傾斜断面では「形・形状」が違って見えるはず。組織を見ながら立体をイメージしてみよう。また、細胞の基本的な性質から考察すると体内には「オモテ側とウラ側」がある。これについてはC-5に記す。

 *リンク先の事例・・・・「動物体の原型」:参照するときは文字列をクリック。

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C-3.体の中身「2系6要素-11器官系」について

キーワード:2系6要素-器官系11区分、体性器官、臓性器官、器官系の順列、

 脊椎動物の中身は基本的に器官系区分で考察する。つまり「2系6要素-器官系11区分とその順列」である。器官系区分は当事者の立場からまちまちに記されているが、それでもその基本は、「受容→伝達→実施」、「吸収→運搬→排出」の2系6要素であり、

 1)外皮系、「2)消化・3)呼吸系」、4)循環系、「5)泌尿系・6)生殖系」、

  7)感覚系、 8)神経系、 「9)筋系・10)骨格系」、11)内分泌系、である。

つまり、体を覆う「外皮系」に加え、多くが腹側に位置する「臓性器官」が 2)〜6)、多くが背側に位置すると考える「体性器官」は 7)〜10)、更に内部調整を担うとして「内分泌系」がある。よって、体の中身は「2系6要素-11器官系区分」で対応する。
 また、それぞれの器官系区分にはどのような器官が含まれるかも重要である。思い出してみよう。器官系の配置は基本的にサカナもヒトも同じであり、上記[3-2]と重複するが「自分の体の中身の配置」と対比させ意識することは重要である。組織観察ではそれらに留意して考察する。 下記の別サイトも参照する。

*リンク先の事例・・「器官系区分と順列」、
  「動物体の原型」:参照するときは左文字列をクリック。

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C-4.体の隙間「体腔管腔その断面」について

キーワード:体腔・管腔、人為的な剥離断裂、体腔管腔壁は細胞シート(上皮組織)、無いから有る。

 掲載した組織像を見るといろいろなところに隙間(何もないところ)が観察されるが、基本的に動物体内にはむやみに隙間はない(と考える)。脊椎動物で散見される隙間は「体腔・管腔」であるはず。例えば、腹腔・囲心腔・頭蓋腔、消化管内腔・血管内腔、などである。ちなみに、血管などの脈管系の管腔内には血液など液体で満たされているはずであるが、この場合は腔所と考える。
 よって、それ以外の隙間は[3-1]に記した「人為的な剥離断裂」である。 例えば、眼の網膜がその下層の脈絡膜から剥離してる、腸管内腔に面した細胞層(上皮組織)がその下の結合組織と分離し隙間が見える、筋肉にたくさんの隙間がある、など。それらは、標本作製「固定処理」による過度の凝集のためである。作製者(私)がへたくそなため、その結果、組織が凝集し剥離した状態で切り出されるためである。この点に注意してほしい。
 その他の隙間としては脂肪細胞や脂肪組織の中が空という状態で示されている。これは標本作製のプロセスで有機溶媒(エタノールやキシレン)を使用するためで、脂肪が溶け出た結果である。また水溶性の物質も時に溶解する。例えば肝臓のグリコーゲン顆粒など。
 なお、体腔や管腔の断面に見られる腔所に面した内壁(管腔壁)は必ず「細胞層」で覆われている。つまり体腔管腔の壁面は必ず「細胞シート(上皮組織)」でできている。ちなみに組織像の顕微鏡観察で重要な視点は「何も無いところに面するところには上皮組織がある:無いから有る」である。詳細は次の項「細胞の基本的性質」でも取り上げる。

 *リンク先の事例・・・・「体腔管腔その断面」:参照するときは文字列をクリック。

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C-5.細胞の基本的性質

キーワード
:足場依存性、基底膜(細胞外マトリックス)、細胞シート、オモテ/ウラ側、結合組織

 細胞レベルで組織像を観察する時の基本は、体外も含め体腔管腔など空所に面する壁面は、体の基本単位「細胞」が隙間無く平面的に配列した細胞シート(上皮組織)で構成されている、ということである。つまり、血液細胞など(その機能的に分化したもの)を例外とすると、体の細胞は基本的に「足場依存性」であり、細胞の直下には細胞が接着結合する基底膜(細胞外マトリックス)という足場がある。つまり、細胞は足場依存性のため基底膜に結合して生きる性質を示す。更に、細胞は隣接細胞と隙間なく平面的に結合し、切れ目のない細胞シートを形成する。
 つまり、組織像を観察するとき、空所に面するところには「細胞」の配列(細胞層:細胞シート)があることに留意する。またその細胞シートのウラ側には線維上の結合組織(線維性結合組織:コラーゲン線維などの層)があることに留意する。但し、その線維性結合組織は時に極めて薄い場合もある。また、本マクロ組織像では基底膜を境に人為的な剥離断裂が見られるので注意が必要。
 細胞そのものを組織染色標本で見ると、つまり、高倍率で観察で管腔に面した細胞層をよく見ると、ヘマトキシリンで青っぽく染色された「核」がみえる。細胞はその核の所在を基準として判断する。細胞膜は好酸性のヘマトキシリンで薄く染まるので細胞同士の境界も分別できるはず。なお、薄くて見つけにくい扁平上皮の内皮細胞や中皮細胞(体腔の内壁を成す細胞:漿膜の細胞・腸間膜の細胞)であっても内腔壁面にあるので、その「核」を目印に判断する。
 以上が上皮組織に関係した見方である。その他は結合組織・筋組織・神経組織の細胞の見方であるが、ここでは筋の一部のみを記す。つまり、横紋筋は細胞同士が融合して形成された「多核巨細胞」であり、核は細胞膜直下(細胞の偏縁部)に存在する。細長い細胞同士が束になった形態であるが、それでも細胞の周囲には基底膜がある。つまり、基底膜/細胞外マトリックスという「寝袋」にすっぽり包まれ、その周囲の筋細胞と「のり巻き」状になった組織である。ちなみに、赤血球は組織観察のスケールとなることも念頭においてほしい。

 *リンク先の事例・・・・「細胞の基本的性質」:参照するときは文字列をクリック。

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C-6.シート構造とその極性

キーワード:「上皮・中皮・内皮」、「単層、重層」、「ウラとオモテ」

 C1に記した標本作製時に生じた剥離断裂にともなう空白(空所)を別とすると、基本的な考え方では、体内の何もないところに面する面(壁面)は細胞シート(上皮組織)であり、それらは基本的に3種類である(で通称される)。つまり、「上皮・中皮・内皮」と区分される。「上皮」は体外に通じた管腔の内壁、「中皮」は体腔内面を覆う壁、「内皮」は体内に埋もれた管腔「血管」の壁である。壁とは繰り返しとなるが細胞層/細胞シート/上皮組織である。
 上皮組織は形態などから多様に分類するが、基本的には傷つきやすいところ(皮膚、口腔、直腸など)は細胞が上下に重なった「重層上皮」であり、それ以外は細胞が一層に配列した単層上皮である。膀胱の移行上皮というのも「単層上皮」である。
 もう少し言えば、物質透過を担うところは平たい扁平上皮(体腔内壁や血管内壁など流れや滑りを良くするところも扁平上皮)、吸収や分泌など実質機能を担うところは「立方上皮」あるいは「円柱上皮」と考える。
 ちなみに、肝臓の入り口は十二指腸にある総胆管開口部であるが、その管の内面に沿って奥まで進むと肝臓のオクの奥や中央にまで繋がっている。もちろん肝臓の中には血管系(内皮細胞からなるチューブ)が網の目状にあるが、文章では分かりにくい話だが、それでも肝臓という塊も、肝細胞と内皮細胞の2種類の細胞シートであり、立体的な折り紙細工のような具合であることは念頭においてほしい。ちなみに眼の網膜はバームクーヘン状であるが、それでも神経細胞からなる重層の細胞シートであることに留意する(ただし、専門ではそのような説明は行っていない)。
 ところで、「細胞シート」という考え方を用いるとき、話し合いの基準設定が可能である。つまり、細胞層(シート)あるいは基底膜を基準にして、管腔に面する方向が「オモテ側」、基底膜下を「ウラ側」と設定する(ウラ側には結合組織がある)。そうすると、体の中には必ず細胞レベルから明瞭な方向性と基本的な規則が生まれる。 つまり、ロジックが現れる。

 *リンク先の事例・・・・「シート構造とその極性」:参照するときは文字列をクリック。

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C-7.結合組織

キーワード:4大組織、神経や筋組織以外の「中胚葉に由来する上皮組織のウラ側にある細胞・組織」

 4大組織の区分は「上皮組織・結合組織・筋組織・神経組織」である。体はこれらの4区分で扱うことが可能である。結合組織は上皮組織のウラ側にある。骨や血液細胞などいろいろな細胞や組織が含まれるため、時に医学生物学では「支持組織」という区分が好まれているようだが、動物学や諸外国の基準は「結合組織」である。
 多様性は時に戸惑うが、その考え方は画一性であり、組織学ではその「由来・起源」を置く。つまり、結合組織とは、神経組織や筋組織以外の「中胚葉に由来する上皮組織のウラ側にある細胞・組織」である。具体的には、線維性結合組織(線維芽細胞という細胞が埋もれている)、骨・軟骨組織(骨細胞・軟骨細胞が埋もれている)、肥満細胞、脂肪細胞、血球系細胞である。上記したが脂肪組織は網状であるが核は見える。

 *リンク先の事例・・・・「4大組織と由来」:参照するときは文字列をクリック。

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C-8.その他

 上述だけでは「マクロ組織の観察」には不十分とは思う。また当初の予定とは異なり「専門用語」を多用したが、実際に組織像を観察し話し合う時には、平素な表現でも可能であることは理解してもらえると思う。例えば「空所に面した細胞の層(シート)」だけでもいろいろな話し合いは可能と考える。
 動物組織標本の観察で重要なことは、もちろん専門的にはその多くが判明するであるが、それ以外の場合は「もの言わぬ自然物の成り立ちを分かりやすく通訳・翻訳・代弁すること」という観点も成り立つ(生物学の命題)。
 生物系の学習は基本的に知識や用語が優先する(傾向にある)。確かに数理論理学習とは異なるが、それでも科学であるなら「考える筋道」はある。生物・生命科学系の基盤は経験科学であり、時に未証明な部分も多々あるが、数式などが生物基本用語から構成されているような具合である(と思いたい)。つまり生物系にも基本的なロジックはある。
 上記項目はそれらに相当する(と考えている)。動物体の考え方は複雑系であり一義的な取り扱いにはなじまないが、それでも数理論理学習のようにロジックが与えられている(を求めている)。マクロ組織を観察して「これは何だ」という命題、それを読み解く基本概念に基づくロジック展開と考察である。それらを通じて「分かる」を自分自身で実感することも組織観察の目的である。このことを実感してほしい。
 答えはすぐには出ないかもしれないが「話し合い」の基盤は十分にある。他の教材では代替が難しい現実実体「複雑系」の応用問題であり、つまり、共有命題である。この観点から組織標本(の観察)は、誰もが必要な複雑系の経験値を簡単に共有できる優れた素材と考える。その観点から組織観察は「余人に変え難い」経験値となるはずである。達成感も生じるはずである。これらについては下記[4]に記す。

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[D] 組織像観察とは?(認知する/観察するとは)

 小難しく言えば「組織像」は複雑(系)である。はじめて組織標本(プレパラート)を見るとそこにはいろいろな「形や色」が見える。初学者には何がどうなっているのか分からないということも多い。それを読み解くのが「動物組織学」の狙いであるが、それは一義的には「分かる人には分かる」世界であり、専門的には各論重視であり時間と経験が必要である。 あえて言えば、「知識用語優先学習」の典型のような学習である。
 しかし「これは何だ?」という疑問は知識レベルに関係なく誰にでもあり、それを「意識し、取り組み、理解する/納得する」、あるいは「話し合う」筋道も必要である。つまり「分かる」ための一般論である。疑問は「なに・なぜ・どうして・どのようにして」でもあるので疑問はつきない。それでも考える筋道の基本はきっとあると思いたい。本節ではそのことを考える。 ちなみに関連サイトの「マクロ組織の話し合い」でもそのことを取り扱っている。
 繰り返しとなるが、はじめに、顕微鏡や虫眼鏡で組織像(プレパラートまたはデジタル組織像)を見る。形や色が見える。静的な実体なので「現象」ではなく「状況」は確かにそこにある。少し戸惑う(ということにする)。「あれは何だ/これらは何だ」である。例えば、解説のない「MTZ-1:マクロ組織像」はこの例である。困惑するが慌ててはいけない。そこには必ず状況を構成する「実体/実在」がある(と考える)。
 実体は状況をできるだけ正確に表現したもの、「区分/分類」したものであり、時に複数の要素から構成されている。一般的には誰かが決めた名称、時に専門用語で区分され/表現される/認知される。そのためその知識や用語に馴染みがないと多少面倒でもあるが、その専門用語をできるだけ省略するまたは平素に表現すれば、それほど困ることではない。つまり、正確な状況説明を行う。その結果、当初の困惑はいつのまにか幾つかの「論点」になる。つまり、正確な疑問が表出される(視点が定まる)。「この部分は何・なぜこうなっているの?」であり、そのことを考察する(話し合う)とうまくいけばそこには「本質」が生まれるはずである。 「なんとなく分かった気がする」である。
 この本質は、自然科学の場合、既に判明していることも多い(疑問がある場合は研究対象となる)。良い意味での「学理体系:総論」である。つまりそこには「ロジック」のような展開がある。それを「本質」と呼ぶ。実際にはいろいろ違っているはずの形や色であっても、人は戸惑うことなく「同じ」と理解する。学理体系はそこに典型としての「原型」を求め「共有命題」として取り扱う傾向を示す(しようとする)。概念図による表出がなされ科学論となる。以上の経緯を図示すると以下のような配置図となる。

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 <現実/実体の枠組み:配置図>

  A1. 現象/状況 ・・・・ A2. 実体/実在 ・・・・ A3. 本質/原型
     ↑           ↑            ↑    
     ↓           ↓            ↓
  B1. 役割/働き ・・・・  B2. 機能/仕組 ・・・・ B3. 性質/物性


 サカナの体構造や組織を常々考えている人は少ない。サカナと言えば「左前頭であり、食べてよし、釣って・愛でてよし」の対象であるが、今回は「マクロ組織の話し合い」であり、魚類組織像の解析であるので、この場合は「ヒトもサカナも同じだよ」となる。立場の違いから異論もあると思うが、[C]で解説した「実践マニュアル」で考察する。
 例えば、消化管らしいところを見る。その状況は、よく見ると管腔内に面した部分は「なんとなく層状」である(構成されていることが分かる)。それを区分するとその実体は「上皮組織」と定義される。「上皮組織 epithelium」とは「オモテ側/上側にある細胞の層」という意味であるので、その本質は、更に良く観察/考察すると、体の基本単位「細胞」が隙間なく平面的に配列したものと判明する。つまり「細胞シート」である。更に更に観察すると、体腔管腔も含め体の表面は全て細胞シートから構成されていることが分かる。「シートからの体つくり:本多さんの著書の内容」となる。以上がA系列(形態学的)の見方であるが、それらを機能的な観点から扱うと下の系列Bとなる。
 本質/原型はその構成単位が持つ「性質/物性」に依存したものである(と考える)。よって、細胞の性質は、一部例外もあるが、基本的には「足場依存性」であり、その結果として「細胞シートの形成:体は細胞シートからできている」となる。物性を示す単位やその集合体には「機能や仕組」がある。更に、外部環境との整合性からそれらは時に「役割/働き」を示す。その働きや役割は、繰り返しとなるが、現象や状況として捉えられる。
 以上が「現実・実体の枠組み」であるが、もちろんこれらは「論より証拠」であるので、慌てず騒がず「考える筋道」として利用する。組織という形態には機能があるという話にもなってしまうが、強調したいのは、上記の「枠組み」に基づく「マクロ組織の話し合い」は「ロジカル・シンキング・トレーニング」の事例として好都合という話でもある(生物系が嫌いでない場合)。ただし、言い過ぎとは思うが上記の配置図とその要素は組織像観察のためという訳ではなく、多くの主体的な疑問の論法/枠組みとして共有するが可能である。
 ところで動物体を考える(話し合う)は方法は、一般には「1」解剖組織学、2」生理生化学、3」発生遺伝学」の枠組みによるが、最近ではその基本単位から全てを「細胞生物学」として扱うことも可能である。ちなみに、前者の区分を平素な表現とすると「形・役割・仕組・由来・他」となる。これでは区分が粗な場合は次の区分項目を用いる(ことが可能であると思う)。

1)部位、2)形状、3)名称、4)繋がり、5)区分(構成)、6)役割(物性)、7)仕組、8)由来、9)他
 
 つまり、組織像を考える(話し合う)場合、言い換えると「自然物の成り立ちを通訳/翻訳/代弁する」の話題は一般的には上記の9項目で十分かもしれない、と言うのが結論である。
 誰にでも分かる枠組みを大切にしてほしい。答えはすぐでないかもしれないが「共有命題:Open Question」は大切である。但し、最小努力の最大効果を期待したい時は専門用語も有効である。

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[E] 本編「魚類マクロ組織」に関わるリンク先一覧

 <組織標本作製法>、<マクロ組織の話し合い>、<迷路の歩き方>、

 <体の基本10項目>、<描き見て考える>、<用語>

上記項目C「マクロ組織の実践観察法」の別様テキストは「ここ」をクリックし参照。

 なお、下記(サイトとアドレス)は組織学のデジタル画像や(図譜・アトラス)のプラットホームである。更に深入りしたいときは是非参照してみよう。

HISTOLOGY WEB SITESのURLは下記

http://www.auburn.edu/academic/classes/
 zy/hist0509/html/Histologywebsitelinks.pp.html

*下記のURLはミシガン大学提供であり、画像はバーチャル顕微鏡観察である。是非参照

  http://histology.med.umich.edu/schedule/medical

*下記「JayDoc HistoWeb」 もお忘れなく:KU「ジェーフォーク」です。

  http://www.kumc.edu/instruction/medicine/anatomy/histoweb/

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