哺乳類の味覚制御法の確立

 もともと脂質には味がないとされてきましたが,これまでの研究成果から高度不飽和脂肪酸や酸化生成物が味を修飾することが明らかになってきました.また,一部のペプチドが味の深みや持続性を増したりすることもわかってきています.これらの機構解明を行い,おいしさを向上する技術の確立を目指しています.

水産生物の体色制御に関する研究
味細胞in situカルシウムイメージング法によるMSG応答の可視化.
MSGに反応して細胞内カルシウムイオン濃度が上昇した細胞が確認できる.→
研究テーマ Research
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 マダイやイカ・タコ類などはたとえ品質が非常によくても体色が消費者のイメージと合わないとその商品価値が著しく低下します.そこで,魚類や頭足類などの水産生物の体色制御機構を明らかにし,それを利用した体色制御法を確立することを目指します.

←マダイ色素細胞中の色素顆粒やイカの色素胞の挙動を制御することによって,体色を制御することができる.

 アディポネクチンなどの脂肪細胞が分泌するホルモン(アディポサイトカイン)は脂質代謝や糖代謝を制御します.また,マクロファージのシグナル物質(サイトカイン)は免疫や炎症に重要な役割を果たします.このようなサイトカインの働きを食品で調節する生活習慣病予防法の確立を目指しています.

→抗炎症作用で化粧品
←ホヤは原索動物の一種であり,我々脊椎動物の祖先ともいえる.
マボヤは夏季になると非常に甘みが増してくる.その甘味物質は水を甘くする非常に不思議な物質である.
生活習慣病予防法の確立に関する研究
魚類アレルゲンと特異的モノクローナル抗体との1分子結合反応の可視化..
輝点が抗原抗体反応を起こしたところ.→
表面プラズモン共鳴現象を利用したアレルゲン高感度・迅速定量法.→
数時間かかったアレルゲン検出がわずか数分間で可能となった.
穀類加工廃棄物の有効利用に関する研究

 米をはじめとする穀類を消費するためには糠やふすまと呼ばれる加工廃棄物が生じます.これらの一部は,家庭排水を通じて水圏環境に負荷を与えています.穀類加工廃棄物の付加価値を高めて経済的にペイするようにすると,その回収が可能となり,水圏環境の保全につながると考え,穀類加工廃棄物に含まれる成分の生体調節作用を明らかにしています.その中で,米糠のγオリザノールに関する研究は次の生活習慣病予防法の確立に発展しました.

魚貝類アレルゲンの微量検出法の確立

 魚貝類は食物アレルギーを引き起こすことがあります.そのままの形で存在する場合は食べるのをやめればよいのですが,ソースやスープの中に入っていると,判別できないことがあります.そこで,アレルゲンに特異的に結合する抗体を人工的につくり,上述した可視化技術などを用いて,高感度で迅速な検出法を確立します.

←過酸化脂質と特異的に反応して蛍光を発するように設計した蛍光プローブPeDPP.





上は健康なマウスの肝臓.下は2型糖尿病を発症したマウスの肝臓.過酸化脂質が大量に蓄積されていることがわかる.→
細胞内・細胞間・組織間情報伝達機構に関する研究

 生体は,細胞内,細胞間,組織間でさまざまな情報のやり取りをして生命活動を統合しています.本研究室のテーマは対象こそ違っても,ほとんどがこのような情報伝達機構を解明し,さらにそれを利用していくことを目指しています.

生体活動の可視化技術の確立
例えば,右図のように光を照射すると黒色素細胞の顆粒は拡散し(A,B),赤色素細胞の顆粒は凝集する(C,D).→

 生体の中では種々の生物学的および化学的反応が起こっています.これらの反応が複雑に絡み合って生物の機能を作り上げますが,それを直接目で見ることはできません.何とかして見えればもっと理解が進み,説得力も増えるのに...と願い,可視化技術の開発を行っています.

←γオリザノールやクルクミンなどのヒドロキシ桂皮酸誘導体がアディポネクチンの発現・分泌を促進する.
アディポネクチンは2型糖尿病によるインスリン感受性の低下を回復させる作用がある.






γオリザノールにはNF-kBの活性化を阻害する効果がある.NF-kBは炎症性サイトカインの分泌を制御する転写因子であり,その活性化を抑制することは,抗炎症作用や様々な生活習慣病予防につながる(特許申請済).