2012年最後の交通写真集である.
11月初旬に,日英土木学会シンポジウムでロンドン,中旬にフィリピン大学との「低炭素交通システム」
セミナーでマニラ,その足で,パリに向かい(香港空港transit),OECDのInternational Transport Forum
における "Long-Run Trends in Travel Demand" 会議に参加...というめまぐるしい一ヶ月であった.
ちょうど,三都市ともにクリスマスデコレーションの時期でもあり,こちらをキーにとりまとめよう.




これはロンドンのHyde Park内の例のレンタサイクル.大手英国銀行のBarclaysの広告ロゴが
入っている.自転車はVelibと同じと見受けられた.パリほど,利用者を見かけることは
なかったように思う.ただし,自転車利用者は多くなったようだ.





滞在ホテル(Corus Hotel)の西隣がNotting Hillであったので,早朝に散歩してみる.ジュリア・
ロバーツ主演の映画でも有名な街.骨董店や,小さなアクセサリー店などが連綿と並ぶ街.
これは中古のスーツケースを手がけているお店ですね.





日英シンポジウムは,UCL (University College London)で行われた.伝統ある大学だが,図書館
もある建物の中庭に,この石碑がある.伊藤博文や井上馨などが明治維新前にここを訪れた
という記念碑だ.日英の長く奥深い交誼を象徴する一品.





日英土木学会交流の一環で,英国土木学会(Institution of Civil Engineers: ICE)の建物内を案内
していただきました.場所はウエストミンスター寺院の西側徒歩1分だ.
伝統ある学会でもあり,20世紀初頭に移転してきたというこの建物も荘厳な空間だ.この写真は
メインホール.溜息が出る.





同じく,ICEの図書館です.大英帝国の香りが匂い立ちますね...





ICEの中に,Brunel Roomという部屋がある.これは,英国土木技術者のMarc Isambard Brunel
(1769-1849)を記念した部屋だが,その息子,Isambard Kingdom Brunel(1806-1859)も父以上に
有名な鉄道技術者であったという.この写真は,Paddington駅の一番ホーム横に鎮座する,
駅設計者でもあった後者のBrunel像だ.右のパネルでは,現在ターミナルになっているPaddington
駅を地下化し,ロンドン中心部に直通運転可能な新線建設に関する説明がある.2018年完成
予定とか.典型的な大都市の積極果敢な公共投資だ.





さて,クリスマス風景です.これはRegent St.のデコレーション.派手な演出で大変楽しませてくれます.
二階建てバスがすごい勢いで走り回るので,車道付近で撮影すると,接触しそうになる.危ない.





おなじみの英国銀座,Oxford St.のクリスマス風景.ここは距離も長く,通りに面した商業施設も
デコレーションに力を入れているので,見応えがあります.写真では分からないが,LEDによる
動きのあるイルミネーションが印象的.Oxford St.の動画はこちら.
自転車走行が目立つ.







さて,三年ぶりのマニラです.日曜午後でもあり,ショッピンセンター周辺はこんな
感じで相変わらず劇的に渋滞しています.それでも,全体的には流れがだいぶ
スムーズになっているように思いました.様々な交通施策の賜物でしょう.
今年から,都市圏交通マスタープランのMUCEP (MMUTIS Update and Capacity
Enhancement Project, MMUTIS: Metro Manila Urban Transportation Integration
Study (1997))が始まった(ややこしい名前を付けるものだ).南北を走るMRT1号線
の南延伸,東西を走る2号線の東延伸などがプランの候補に挙がっているとか.
マニラ市内のPT調査は完了しているが,それ以外の地域については来年になる
とのこと.





何故かMRTでは全く広告を見かけなくなってしまったが,バス広告は健在.言われて気づいたが,
左下に,"How's My Driving ?" と書いてあり,電話番号も記載されている.これはマニラ市内
すべてのバス・Jeepny・トラック・タクシーに書かれていて,乱暴な運転者が通報される仕組み
とか.面白い.数年前に始まったとか.





フィリピン大学に着きました.学内中心部の楕円形状のサークル道路に,Oval Bike Laneという
自転車専用道が数年前から設置されている.なかなか自転車に馴染みのないお国柄だが,
少しずつでも増えているらしい.ちょうど,学生が測量実習を行っていました.懐かしいです.





セミナー用の大きなバナー(下の緑色)も作ってくれました.日本では馴染みのない習慣です.





お世話になった先生方と食事をともにして,最後に記念撮影.
実は,この場所,フィリピン大学キャンパスの中で,"UP Ayara Techno Hub" という,いわゆる
先端技術センター(IBMなどが入居している)と,写真背景のレストラン街などを組み合わせた
新規開発地区だ.Ayaraの名前が冠せられているので,Ayara財閥も出資しているのであろう.
今年はフィリピンは景気も良いそうだが,この国の成長度合いを肌で感じる空間でありました.





12月とはいえ,マニラは最高気温は30度を超すので,あまり街歩きはできず,良いクリスマス
写真の撮影機会はありませんでした.これはShoe Mart内のデコレーション.とにかく大勢の
お客さん,そして必要以上に大人数の店員さんが印象的です.





同じくメガモール内の風景.どちらかというと,躍動感のあるサンタが好きらしい.








一転して20度以上気温が低いパリに来た.
これはVelibの自動車版,Autolibです.二台とも,ケーブルが繋がっていて,充電中であることが
分かる.市内を歩いていると,想像以上に走っています.常時屋外にあるので仕方ないが,
やたらとキタナイ(車内はどうでしょうかね?)のが印象的.実用一辺倒か.





中心部から南部へ数kmぐらいの場所で,トラム3号線に乗車する.まだ出来たての路線だが,
乗客数はかなり多い.もともとバス需要が多かったのだろう.パリでは,環状鉄道の機能を
これらトラムに担わせるコンセプトのようだ.道路空間に余裕があれば良い配置かも.
車両はもちろん自国のAlstom社です.ちょうど,この出張中に,三菱重工と日立との事業統合
が発表されていたが,そのライバル社でもある.ガンバレニッポン!





何度目の正直か記憶にないが,いつも混んでいてあきらめていたエッフェル塔にとうとう
昇る機会を得た.チケット売り場に並び始めて,このtopまで約40分.かなり空いていた時間帯
であったようだ.でも280mの高さにも関わらず,吹きさらしなので寒い.風も強くて涙目に.





Topから見た凱旋門はこんな感じ.街の色合いや,建築物の高度が割と揃っていることが
分かりますね.建蔽率の高さを感じる.日本と違って,目に見えないところの緑は少ない.





帰りは,二階から階段で下りてみる.Gustave Eiffel率いるEiffel社の当時の技術力がこんな
光景に集約されていると言えようか.エッフェル塔は1889年竣工だが,このコーナー,今年の
ハノイ編でとりあげたLong Bien橋の写真ともちろん類似点が多い.
階段で下りる途中,横を二層のエレベータが通過する.その動画はこちら.





コンコルド広場に出現した,季節限定の観覧車(Ferris Wheel).横にあった説明版には,
「3台のセミトレーラーで搬入し,二日間で組立可能」と書いてあった.Cabは42個あって,日本と
違って回転速度が速く,一回乗ると,三周する.





シャンゼリゼ大通りのクリスマス風景.ロンドン以上の派手さを期待していたが,昨年から不景気で
地味な演出になったのだそうだ.残念です.今年二回目の凱旋門登頂も予定していたが,若干期待
はずれだったのでパスしました.でも,もちろん道路空間も歩道も広くてスケール感は見事です.





凱旋門の夜景.相変わらず,多くの観光客で賑わう.これは1秒間の長時間露出撮影(by GR W).





これも長時間露出撮影です.左端のCartierの建物は色が次々と変化する演出で割とキレイでした.
でも,クリスマス夜景であれば,今の本場は東京かも知れませんね.見たことありませんが,
Projection Mapping("The Wall"で使っていた!)とかいう手法を用いた話題の場所がそこかしこに
あるようです.こちらのデコレーションはレトロの部類なんでしょうね.





レトロではあるけれど,規模が桁違いになると,やはり感動します.これはエッフェル塔の夜景.
夜は23時まで,毎正時になると(一分遅れ?),五分間,キラキラ照明が点灯し,実に圧倒的な
美しさである.その動画はこちら.

ホテルに帰って,iPadにコピーしてあった,Woody Allenの2011年作,"Midnight in Paris" を見ていたら,
橋上からこれを眺める主人公のシーンがあった.名所にもなっている夜景なんだろう.



さて,結局,クリスマス以外の記事が多くなってしまいましたが,来年も機会を逃さず,様々な
「交通写真」を追加したいと思います.


良いお年を!