今回は今年2回目のベトナム・ハノイ.全国運輸マスタープランのお手伝いだ.
会議日程などで余裕がないのが常だが,今回は1日視察の機会を得,中越国境を訪れた.
場所はハノイから北東に150Kmぐらいの国境で,ランソン→ドンダン→ピンシャン(中国)
という都市が連なる.例によってGPSによる走行軌跡も記録したが,
そのGoogle Maps画面はこちら.
さて,写真は国境間近のランソン駅の風景.ベトナム側はメーターゲージ,そして
中国は標準軌なので,レールが3本ありますね.これは3線軌条と呼ばれるが,
首都圏では小田急の小田原−箱根間で見ることができる.こことは違うが,
より国境に近いドンダンの駅の中国貨物車の動画はこちら.
写真のベトナム貨車に比して,二回り以上も大きいことが確認できる.
これは中越国境のシンボル,『友誼関』.千年単位の歴史を有すると思われるが,
今は中国側に位置しており,国境の役割は果たしていない.この二国は1979年には
『中越戦争』をしており,この辺りは正にドンパチ激しい戦場だったのだ.かような
平和的な風景,往時の当事者はいかに感じることだろうか.
ベトナムの国道一号線の起点標識だ.日本であれば日本橋だが,何故か国境を起点
とする.
これが本当の中越国境.さて,国境越えのチェックだが,ベトナム側はすさんだ施設
でもあり,ごく簡単な手続きでOK.しかし中国側は空港税関と同じレベルの厳重+
お金を投じた施設が用意されている.中越の格差をまざまざと実感するプロセスで
あった.
中国に入国し,高速道路(中国に入ったとたん,高速道路ネットワークアクセスが
快適)で20分ほど行くと,国境付近の街,ピンシャンに着く.これはそこで見かけた
3輪バイクである.運転手の3−4割は女性のように見受けられた.
ドンダンからのCross Boarderポイントのもう一つ.写真のゲート手前がベトナムで,向こう側が
中国. ここは何故か中国側に『見せつけるように』中層デパートが建設されている.
聞くところによれば,ベトナム側に中国の豊かさをアピールするための施設作りとか(ホントか?).
実感としても彼我の格差は大きい.
ハノイへの帰途の道すがら,様々な食材栽培の現場を見かける.これは今が
旬のライチを運ぶ農村における心安らぐ風景.これがやはりベトナム的な光景
なのだろう.農耕機械も見あたらず,純朴な作業が想像できますね.
そしてハノイ市内のライチ販売風景.上品な甘さが美味です.おばさんの表情にも
ベトナムの滋味があります.
中越国境とは関係ないが,ハノイ北部のトヨタ工場を見学した.1990年代半ばに
進出し,今では100[台/日]程度を出荷する規模に育ったとのこと.この生産規模
でも,部品調達のため,40フィートコンテナが30[本/日]は工場に到着するそうだ.
職人の技術が高く,この工場は最近トヨタ社内で表彰されたとか.
日産100台の車は全てベトナムで販売されるため,その運搬が問題となる.何しろ
経済の6割以上が1500Km離れたホーチミンに集中するので,そこまでの完成車運送が
大変だ.今は普通貨物車や船なども組み合わせて運んでいるが,この写真は物流
会社日新が開発した鉄道用の自動車キャリア車両だ.ハノイからホーチミンまで,
6台をこのキャリアで運ぶことができる.近々,本格稼働するとのこと.期待したい.
最後は例によって,ベトナムの街中の点描.これは炉端で何やら飲食しながらおしゃべりに
興じる女性たち.日本では喫茶店などの店内で見かけるパターンが路上に展開していると
いうことか.同じく路上で夕餉の動画はこちら.
今回はベトナム・サバイバル系のJICAスタッフS氏に誘われ,現地人になりすました一時を
楽しんだ.
これもベトナム市内の風景ですね.至る所で果物・花・飲物・野菜・肉などを販売する露店を見かける.
要はコンビニの品別路上展開かな.
ベトナムの有名な甘味『チェー』だ.様々な果物や寒天,ココナッツミルクなどが
混ぜ合わされ,それにかき氷を混ぜて食べる.このスタイルは日本でも世界でも
流行るだろうというのが我々の一致した意見.都内でもどこかで食べることが
できるらしい.ここはハノイ市内の有名店で,値段は18,000ドン(×7/1000=
約130円).決して安くはない.
帰国前の夕方,すさまじいスコールに見舞われる.滞在中,いつも17時前後に
一雨降っていたが,この日は15:30ぐらいから数時間に渡って大雨.時間雨量
50mm以上だったと思う.この雨だと,ハノイ市内はあっという間に洪水状態に
陥る.身動きのとれない車やバイクなどで市内は大渋滞.雨が止んだ後も,
それに合わせた発生トリップがあるのでまた大渋滞であった.
まさに『水の中のアジア』ですね.
この動画はこちら.
動画の最初で登場する,前後にカッパをかぶせた子供を乗せたバイクの姿に感動.