2007年8月以来,4回目のイスタンブール来訪.今回もJICA仕事で,イスタンブール
都市圏の交通マスタープランに関わり,Steering Committee参加と,セミナーにおける
プレゼンが兵藤の役割.
マスタープランは需要分析の道具が整い,本格的な将来の需給分析が始まるところだ.
何しろ,あらゆる交通手段が所狭しと展示されている 交通Exhibition のような
都市なので,modelingもやっかいだ.具体的に言えば,バスなどの細かいmodeの表現,
そして乗り換えが多くなるため,結節点抵抗の取り込みなどが課題となる.
さて,これは2005年の事前調査でも宿泊したTaksim広場に面したSavoy Hotel投宿部屋
からの風景.最近おなじみのインターバル撮影の動画はこちら
ちょうど,朝の祈りのためにモスクの尖塔(ミナレット)から,導師(イマーム)の祈檮
エザーン:EZAN)が街中に響きわたる頃です.
今回の交通視察の目玉の一つが,2007年9月に開始されたいわゆる BRT
(Bus Rapit Transit)システムである.こちらでは,"METRO BUS"と呼ばれている.
市内の西に延びる幹線道路の中央分離帯であったところを上下2車線のバス
専用道にした.
これは西端のBRT駅のそばにあるイスタンブール大学構内.簡単にはキャンパスに
入れず,入り口でマシンガンを持ったガードマンに止められ,中を散策するときも
大学関係者のガイド付きであった.しかし,キャンパスは広大で,この通り眺めもよい.
勉強には集中できそうだ.
キャンパスを出るときのショット.これに限らず,日本人と見ると,何故か手を合わせ
合掌する人が多かった.関連するTV番組でも放映されているのかな?
さて,BRTの話に戻る.BRT車線は,もともと保留地だったそうで,新たに車線を削った
わけではない.乗車したが,イスタンブールの他の公共交通に負けず,需要密度は高い.
写真を見ると分かるが,一般車両は右側通行なのに,このBRTは左側通行にしている.
これはジャカルタの様な乗降口を反対にした新型車両導入が間に合わなかったため
(その意味では,このシステム自体が社会実験のスキームに近いかも).
近々,新しい車両を導入し,右側通行に戻すとか.乗車中の動画はこちら
ジャカルタBRTと比較してほしい.
BRT路線の東端の駅.計画ではこの先にも延伸するとか.どこの国でもそうだが,
BRTは割と評判がよく,延伸やら増設などの話をよく聞きますね.
バス専用道+高頻度サービス+駅設置 というセットが効果的なのだろうか?
詳しくは文彦先生に.
そうそう,この終着駅の動画はこちら,水曜日の14時頃の映像だが,やはり
利用者は多いですね.
この東端の終着駅のちょっとまた東に,BRTの折り返し施設が設置されている.
わかりにくいが,道路上に,ループ状になった細い道路を確認することができる.
開業後,折り返しがうまくいかず,ad hocに作られた施設,とのことだが,面白い.
翌日,時間を見つけて対岸のKadikoy(カディキョイ)船着き場に渡る.実は,この
ターミナルに隣接した歩車錯綜交差点で,歩行者優先の信号・歩道システム導入の
社会実験が,JICA調査の一環として計画されている.その視察.
これがその計画案だ.トルコの運転マナーは劇悪で,歩行者がないがしろにされているし,
歩行者も平気で信号無視をする(いわゆる "J-walk").この実験が,歩車間のマナー
確立の一助になればと願っている.
最近のJICA交通調査では,長期計画ももちろんだが,Pilot Projectとして,このような
TDM絡みの施策を調査期間中に行う例が多いようだ.兵藤が関わった案件でも,
ホーチミンのバス専用道,ナイロビのroundabout信号設置 などを体験しています.
Kadikoyへは船でボスプラス海峡を渡った(30分程度).餌付けをしているらしく,
船が出ると,一斉に鳥がギャーギャーいいながら船尾に寄ってくる.
イスタンブールに来たなぁ...と感激に浸ることになるが,鳥インフルエンザは大丈夫か?
この動画はこちら
最後は,出発当日の午前に立ち寄った,昨年に開業したLRT路線.
とにかく,来るたびに新しい交通施設ができているという印象.この路線図は上記の
通りで,緑の線で囲ったところ.まだ両端の路線が未通であるが,割と長距離路線
であり,終端はかなり山の上である.詳細な路線図はこちら
これが終端駅付近.かなり高度があり,当日は深い霧に覆われていた.
しかし沿線は修理工場などが立地する,ブルーカラー層の土地柄であった.
決して,観光客が行くところではない.

この日の行程もGPSで記録した.最近知ったが,Google Mapsで表示可能だ.
移動記録はこちら.