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  • 2010年11月7日 北海道南東部に位置する厚岸町で、厚岸牡蠣博士認定委員会のみなさんとワークショップ「あっけしの食と文化と環境をどう守るか」をおこない、町の魅力、課題、これからの希望について語り合いました。報告書はこちらです。

森川海プロジェクト

 沿岸,とくに河口湾・干潟では,古来,その豊かな生態系サービスに惹かれて人が集まり、集落を作り都市を発達させてきました。こうした人口の集中は世界各地で沿岸の生態系サービスの劣化を招き,資源の枯渇,水質汚染,生物多様性の劣化,自然災害,海面上昇,海岸侵食,土地や資源の利用をめぐるコンフリクトなど,さまざまな問題が起きています。そこで期待されているのが、「総合的な沿岸域管理」です。

 「総合的な沿岸域管理」は、水でつながる沿岸域という空間において人間がおこなうさまざまな活動をひとつの大きな枠組みの中で調整しようという発想です。その定義には、「沿岸の海洋資源や空間の保全と持続的利用について合理的決定が下される過程」、「生物多様性と沿岸生態系の生産性を維持しつつ、沿岸資源に依存する人間共同体の生活質を改善すること」を全体目標として「政府と共同体、科学と管理、セクターの利益と公共の利益とを結びつけ、沿岸域生態系および資源の開発と保護のための総合的な計画を策定し実施する過程」、などがあります。

 1992年に開催された国連環境開発会議(地球サミット)で採択された行動計画「アジェンダ21」には「沿岸国は,自国の管轄下にある沿岸域および海洋環境の総合管理と持続可能な開発を自らの義務とする」、と記されました。以来,「総合的な沿岸域管理」は国際的要件となっています。日本でも、2007年に制定された海洋基本法第25条では「沿岸域の総合的管理」の実施が明記されました。ただし実効までにはまだ時間がかかるようです。
 一方、1990年代初めから、日本各地で漁民による植樹がさかんにおこなわれるようになりました。これを基盤として、河川上流(森)から河口(海)にいたるまでの資源環境を利用する関係者の「協議会」によって植樹が展開されている地域もあります。沿岸域の水を介した自然生態系のつながりを重視する発想と関係者のつながりにおいて「総合的な沿岸域管理」の概念とよく重なるものだと思います。


水でつながる沿岸域

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