.. index:: van del Pol equation ========================================== 例題:ファン・デル・ポール振動子 ========================================== .. toctree:: :maxdepth: 1  ルンゲ-クッタ法では,エネルギーは保存しないが,非常に長時間にわたって計算が行えることが分かった. これを使って,ファン・デル・ポール(van del Pol)方程式の計算を行ってみよう. ================================== ファン・デル・ポール方程式は,非線形力学の分野で有名な方程式である. .. math:: \ddot x + \mu\left(x^2-1\right)\dot x+ x = 0 ほとんど,バネ・マス・ダンパ系の方程式であるが,ダンパの部分(減衰項)が非線形になっている. :math:`|x|>1` では減衰項が抵抗として働く(振動を小さくしようとする)が, :math:`|x|<1` では,負の抵抗として働く. 振動を大きくしようとする. プログラムをほんの少々変更すれば計算できる. 以下の図は, :math:`\mu=1.5` , :math:`x(0)=0.5,v(0)=0.0` の初期条件で計算を行った結果である. [tmax = 30.0d0,n=3000(時間刻みは0.01)] .. figure:: ../img/328XvsT_vdP.png :scale: 100 % :align: center :alt: X vs T of van del Pol equation 位置の時間変化.振動がひしゃげている. .. figure:: ../img/329UvsT_vdP.png :scale: 100 % :align: center :alt: U vs T of van del Pol equation 速度の時間変化. .. figure:: ../img/330UvsX_vdP.png :scale: 100 % :align: center :alt: U vs X of van del Pol equation 縦軸速度,横軸位置の相平面. 次は, :math:`\mu=0.1` , :math:`x(0)=0.1,v(0)=0.0` の初期条件で計算を行った結果である. [tmax = 3000.0d0,n=300000(時間刻みは0.01)] .. figure:: ../img/331XvsT_vdPu01.png :scale: 100 % :align: center :alt: X vs T of van del Pol equation 位置の時間変化. .. figure:: ../img/332UvsT_vdPu01.png :scale: 100 % :align: center :alt: U vs T of van del Pol equation 速度の時間変化.位置,速度ともに徐々に振動が大きくなり,その後周期的な振動を維持する. .. figure:: ../img/333UvsX_vdPu01.png :scale: 100 % :align: center :alt: U vs X of van del Pol equation 縦軸速度,横軸位置の相平面. 原点近くからスタートして,徐々にほぼ円形の軌道に漸近していく.この軌道をリミットサイクルという. :math:`\mu` が小さいときは単純な調和振動子に近い振舞いをする. 調和振動であれば相平面は円である. .. note:: 〔 :title-reference:`ストロガッツ 非線形ダイナミクスとカオス` ,Steven H. Strogatz,田中久陽ら訳(丸善出版,2015) 〕