・平面上の液滴の運動
本格的なメニスカス研究の前段階として、平面上に形成された液滴のシミュレーションを行いました.
シミュレーションとしては粒子法(MPS法)と呼ばれる手法を用います。これは東大の越塚氏が開発したものであり、流体や構造物を粒子で表現しシミュレーションを行うものです。この方法では有限要素法や差分法などのシミュレーションと違い格子やメッシュが必要でないため、流体など界面の大変形を伴うシミュレーションが容易に行えます。
このように接触角に応じた液滴のシミュレーションを行うことができます。
この手法を用いて、傾斜平面上を転落する液滴のメカニズムの解明を試みました。
このシミュレーション結果は、傾斜平面上をエチレングリコールの液滴が転落する様子を示したものです。液滴は左から右へ転落していきます。
このシミュレーション結果より、転落する液滴の速度と位置の関係、転落速度と接触角の関係、前進接触角と後退接触角の変化の様子、転落する液滴内部の速度分布、といったことを知ることができました。
詳しくは…
「小泉峻介、田中健太郎,岩本勝美,"平面上の液滴の運動",トライボロジー会議予稿集 春 東京,pp.299-300(2007)」
・メニスカスの動的挙動の観察
メニスカスとは物体間の極小隙間にできる液体架橋のことです。
たとえばテーブル上に水をたらすと表面張力の影響で、水は丸い水滴となります。この水滴に指を近づけると、指と水滴がある程度の距離にまで接近したとき、水滴が指へと飛びつき架橋ができます。これがメニスカスです。
このメニスカスには、大きな吸着力が発生するため、マイクロマシンや小型機械要素においては、この吸着力による動作への影響を考える必要があると推測されます。
本研究はメニスカスの形成の過程を、シミュレーションと実験の両面から解析するものであります。
シミュレーションには上で述べたMPS法を用いています。
さらに実験としてメニスカスの形成を観察できる実験装置を製作し実験を行っています。
この装置ではメニスカスの形成過程の観察や、メニスカス吸着力の測定を行えます。
詳しくは…
「小泉峻介、田中健太郎,岩本勝美,"二平面間のメニスカスの形成過程",トライボロジー会議予稿集 秋 佐賀,pp.321-322(2007)」