2012年砕氷船観測研究航海終了
@韓国極地研究所 砕氷船アラオン(2012.7.30〜9.11)
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アラオン(ARAON)とは、”全ての海、七つの海(Seven
Oceans)”と言う意味です。
北極航海を終え、現在韓国に向けて回航中です。帰港後、10月には南極観測に向け出港します。
極域調査船の南北両極運航は、ノルウェーのフラム号(Fram:前進)に始まり、今や欧米諸国、韓国、中国もフル稼働で行っています。
日本の砕氷観測船(ホーム・グランド)による北極氷海域での調査航海が必要です。
観測マップ
海洋物理チームメンバー
島田浩二、吉澤枝里(東京海洋大学)
Tae Wan Kim、 Hyun Jung Lee(韓国極地研究所)
Ho Jin Lee(韓国海洋大学)
Aカナダ沿岸警備隊 砕氷船ルイサンローラン(2012.8.2〜9.8)
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メンバー:平野大輔
2012年の海氷面積最小について
8月の海氷面積(Sea Ice Area)の変化 [SSMR,SSM/I]
上段:北半球全体
下段:海域毎の変化[@カナダ海盆、Aマカロフ海盆、Bナンセン・アムンセン海盆、Cカナダ多島海沿岸域]
上段および下段の実線は3年の移動平均(但し2012年のみ年値)、上段の破線は年々値。
ポイント:
@海氷の消滅速度が早く、8月上旬の気温は2007年ほど高くない。
A薄い氷であったので、一気に消滅した。
B何故、薄かったか?
× 気温が高いから融ける
○ そもそも薄かったので融け切る
何故薄いのか?⇒海洋の温暖化
海洋の2008年から2012年にかけての熱的変化を見ると(下図)、著しい海洋の温暖化が進んでいる。
また、海洋の温暖化域が拡大している。
2008年の熱量(20-150m)
※300MJ/m2で1mの氷が融ける、または、1m分の氷形成減少。
2012年の熱量(20-150m)
※300MJ/m2で1mの氷が融ける、または、1m分の氷形成減少。
海洋の温暖化の中心域(=海氷減少の中心域)の水温(ポテンシャル水温)の時間変化を見ると・・・・
2012年は、海洋の温暖化が一気に加速していることが分かる。
また、2007-8年に冷たい水の深度が約40mも深くなっている。
これは、海洋循環が強化した証拠。
海氷が減る
⇒海洋循環が強くなり、北極海内部への海流による熱輸送が増加
⇒海洋の温暖化
⇒海氷形成量が低下
⇒薄い状態で夏を迎える
⇒大量に融解するのではなく、薄いから簡単に融け切って(人工j衛星でみたときの)海氷がなくなる
この繰り返しでさらに海氷減少が加速。元に戻らない。