研究設備装置

我々の食品冷凍学の研究では、食品を冷却する、凍結する、低温で保存する、というような操作が欠かせません。そのためには低温環境が必要で、低温を作るためには冷凍機およびそれに関連する機械装置が不可欠です。というわけで、我々の研究室は、冷却装置、凍結装置、低温保存装置などを多く保有しています。 また、現在の食品冷凍研究は、ドリップやテクスチャーなどというマクロレベルで現れる品質劣化を調べるだけでなく、その原因を追究するために食品内部のマイクロ・ナノレベルの微細構造を調べるという方向性が主流になっています。そのため、光学顕微鏡はもちろんのこと、可視光では捉えられない微細な変化をも検知するために、熱分析、成分分析、結晶構造解析、電子顕微鏡、NMRなどの最新の分析技術を駆使しています。 本研究室での研究を通じて、食品冷凍技術を発展させるとともに、学生の能力向上、社会貢献を実現すべく、様々な高度な機械装置、分析機器を整備し、よりよい研究成果を求めて学びあう環境を整える努力をしています。
2012年の9月に研究室がリニューアルされ、きれいになりました。そして、2013年は機器装置を多種導入し、新たに設備を整えました。さらなる研究の深みを目指します。

設備装置一覧インデックス

食品冷凍学研究室
低温物性科学 研究用機器
大型フリーザー

DSC

島津製作所製

計熱流束型2台
島津製作所(株),DSC-50
*1台は飯島記念食品科学振興財団寄付金にて購入いたしました。

標準セルカバー使用時には室温~725℃,LTC-50使用時には-150℃~400℃の幅広い温度範囲において熱量変化の測定が可能である。加熱のみ 1℃~50℃/minの速度にて温度制御が可能である。

入力補償型
Diamond DSC, Perkin Elmer

測定可能な温度範囲は-170~730℃と幅広く、加熱・冷却ともスキャン速度の調節が可能である(加熱:0.01℃~500℃/min, 冷却:0.01℃~500℃/min)。また測定感度が0.2μWであり、微量試料の熱量測定が可能である。

X線回折装置

卓上型粉末X線回折装置 (株)リガク,MiniFlexII

粉末試料のX線回折データ取得を簡単に行うことができる小型の粉末X線回折装置である。X線負荷が450Wと低いものの、高負荷X線管装置と同等のデータを得ることができる。小型かつ簡易に測定が可能であるため、アモルファス固体の状態変化など物質の継時変化を観察することができる。

HPLC(高速液体クロマトグラフィー)

HPLC(高速液体クロマトグラフィー)

島津製作所(株), CTO-10A: UV,屈折検出可(食品加工研究室と共用)糖類, アルコール類用に利用
島津製作所(株), LC: UVのみ核酸関連物質用, K値測定に利用
様々な成分を含む混合試料を成分ごとに分離し、さらに定量することができる。冷凍研では主にうま味成分の定量や鮮度評価に使用している。例えば、凍結カツオや凍結マグロのうま味成分が解凍開始から解凍終了までにどのように変化していくかについてHPLCを用いて調べている。

分光光度計

分光光度計

紫外可視分光光度計 島津製作所(株), UV-1800

外可視から近赤外域(190~1100nm)までの幅広い測定範囲をカバーした分光光度計。

自動ガス/蒸気吸着量測定装置

自動ガス/蒸気吸着量測定装置

日本ベル(株), BELSORP18

気体分子をプローブとする吸脱着等温線の解析によって、材料の表面構造と化学的特性(親水性・疎水性・親油性など)を定量化できる装置です。窒素ガス吸着による測定に加え、その他のガスや有機蒸気の吸着等温線を自動測定することができる。そのため食品への水分吸脱着だけでなく、有機蒸気などその他のガスの吸脱着等温線をも測定できる。

低温物性科学 研究用機器

冷却加熱ステージ付光学顕微鏡システム

冷却加熱ステージ付光学顕微鏡

光学顕微鏡        オリンパス(株), BX51TF
顕微鏡用冷却加熱ステージ Linkam, LK-600PMS

光学顕微鏡に温度制御が可能なステージを取り付け、温度変化に伴う物質変化をリアルタイムに観測することを可能とした。-190℃~600℃の間で試料雰囲気の温度を制御できるほか、昇温・冷却速度も自動制御できる。温度制御機能を生かすことで、アイスクリーム中の氷結晶粒径や食品の保存に伴う変化などの観察が可能である。

マイクロ高感度DSC

小型NMR

Setaram Micro DSC VII

ペルチェ素子による強力な電子冷却機構により、冷却用の冷媒を使用せずに、-45 ℃からの測定を行うことが可能。
また、最大120 ℃まで測定可能であり、昇温・降温ともにスキャン速度は、0.01~1.2 ℃/minまで調整可能である。
さらに、測定感度は、0.02μW~0.002μWであり、サンプルの変性、転移、ゲル化、反応等の物質変化を観察することができる。

X線回折-示差走査熱量同時測定装置

小型NMR

(株)リガク, XRD-DSCⅡ
X線回折装置 UltimaⅣ
DSCアタッチメント X線回折-示差走査熱量同時測定装置
X-ray DSC

DSCアタッチメントを装着することで、示差走査熱量測定 (DSC)とX線回折測定が同時に行え、同一試料・同一温度、同一雰囲気下で、相転移や化学反応に伴う結晶状態の変化と同時に、温度、熱量を精度よく求めることができる。また、X線回折装置と示差走査熱量測定、それぞれの単独使用も可能である。

低温加熱ステージ付顕微FTIR

小型NMR

Thermo Fisher, Nicolet iN10

顕微鏡とFT-IR (赤外分光分析装置)が一体化し、mm~µmオーダーの微小試料の分析に特化した装置であり、分析に使用するサンプルは、ごく微量で済むという利点を持っている。また、本研究室の顕微FT-IRには低温加熱ステージを付属しているため、温度の制御を行うことが可能である。

低温加熱ステージ付顕微ラマン

小型NMR

Thermo Fisher, DXR顕微ラマンシステム

顕微ラマンは、試料にレーザ光を照射し、その散乱光をCCD検出器によりとらえるもので、非破壊かつ最小で1μmまで分析可能である。また、サンプルの特別な前処理を必要とせず、レーザ焦点を微小に絞ることができるため、極微小領域を非常に感度よく、且つ、短時間で測定することが可能である。

マイクロフォーカスX線CT(低温加熱可)

小型NMR

BRUKER,SKYSCAN1172

小さな試料の内部を非破壊的に観察できるX線CT装置。
本機には、標準サンプルホルダーの代わりに冷却ステージを取り付けることができ、サンプルの温度を室温以下や氷点下以下に保ちながら、イメージング・CTスキャンを行うことができる。

振動刃ミクロトーム(加熱低温ステージ付)

小型NMR

ライカ、VT1200S

電動で刃のフィーディングを行いながら、振動刃が試料を薄切する装置です。刃の振れ幅・進行速度・切片厚をリモコンでコントロール操作することができるため、刃を非常に細かく振動させで試料を切ることが可能である。刃が振動することで組織へ加える力を分散させながら切り進めていくため、魚肉や植物のように柔らかい組織でも未固定の状態 (生鮮状態)で薄切することができ、化学処理を行わずに、組織の状態を観察することができる。

加熱冷却ステージ付オールインワン蛍光顕微鏡

小型NMR

キーエンス, BZ-9000
これまで蛍光観察は、暗室で行うのが一般的でしたが、BZ-9000は、筐体にブラックスペースを内臓しているため、暗室で作業を行う必要がなく、コンパクトな設計ながら明視野・蛍光・位相差観察が可能であるため、これらの切り替えを伴う光源、露光時間、フィルタの変更も容易に行うことができる。
また、加熱冷却ステージの取り付けにより、顕微鏡下での試料温度を自由に制御することが可能であり、温度変化に伴う物質変化をもリアルタイムに測定することが可能である。

大型フリーザー

試験用ダクト式フリーザー

小型NMR

食品の凍結実験のために特別に設計されたフリーザ。ダクト状の凍結室を持つため、ワーク周りの流れ場は毎回同じになり、熱伝達率を一定とすることができる。また、インバータにより風量を変化させることが可能。
さらに、ヒータをフィードバック制御することにより、庫内温度を±2℃の精度で設定できる。これと、1次元伝熱サンプルホルダーを組み合わせることで、非常に再現性の高い凍結曲線を得ることができて、凍結過程の対照実験が可能となる。この装置を用いて、弱い交番磁場が凍結過程に及ぼす効果を検証した研究は、日本冷凍空調学会より表彰を受けました。

LN2プログラムフリーザー

小型NMR 冷媒に LN2を用いたマイコン制御で時間と温度を自由に制御することができるプログラムフリーザーの試作機。液体窒素を少しずつ放出することで、庫内を低温にしてサンプルを冷却することができる。また、液体窒素の放出速度を制御することで、庫内温度を0~-100℃程度の範囲で一定温度に保つことができる。
一般的な蒸気圧縮式冷凍機では、これほどの低温を得るのは容易ではない。 加えて、温度変動を非常に小さく抑えられること、温度を素早く変化させられること(例えば、-10℃から-60℃へ数秒で温度を下げられる)、という一般的な冷凍装置ではまず不可能な温度制御が可能である。この装置を用いて、過冷却凍結という新しい凍結技術の開発を進めている。

共同利用施設にて利用している装置類

核磁気共鳴装置(NMR)

小型NMR

NMR用超伝導磁石 Bruker, UltraShield 400WB Puls
NMR分光計    Bruker, AVANCETM III

400MHzの超伝導磁石にグラジェント分光法, 固体NMR測定, マイクロイメージングにも対応できる分光計を付属したNMRです。1Hのほか13Cの測定用のプローブを有している。付属の冷却ユニットを用いて試料雰囲気を低温にすることもできる。また1H のほか13C測定用のプローブも有しており、様々な情報を取得可能な装置である。

小型NMR

3MHz 汎用型パルスNMR装置
Oxford Instruments(株), Maran Ultra 23

試料中に含まれるプロトン緩和時間の測定に適している。本学装置は傾斜地場勾配発生装置が付属しており、水分子の拡散係数の測定が可能である。試料雰囲気の温度を-50℃~150℃の間で制御できるため、物質の相転移やそれに伴う変化を観察することができる。