国立大学法人 東京海洋大学 海洋科学部 食品生産科学科

ニュース記事「Chinさんの論文」

  Chinさんの論文「Textural improvement of salt-reduced Alaska pollack (Theragra chalcogramma) roe product by CaCl2Food Chemistry掲載されました。その内容は以下の通りです。 

 

  

  スケソウダラ卵製品の減塩は、塩化ナトリウムの摂取量が減ることから、健康によい一方で、製品の物性を弱めることが知られている。本研究では、塩漬けされた魚卵における塩化ナトリウムの減少について、塩化カルシウムを用いることによる物性強化に焦点を置いて調べた。塩漬け魚卵は、スケソウダラの卵を塩化ナトリウム溶液または塩化カルシウムを添加した塩化ナトリウム溶液に漬けて調製した。これらの破断強度、水分含量、塩分量、卵膜のタンパク質組成、総内在性トランスグルタミナーゼ活性を調べたところ、塩化カルシウムの添加により、減塩卵製品の卵膜タンパク質の架橋と破断強度は増加した。この卵膜タンパク質の架橋および物性値の向上は、カルシウム依存性トランスグルタミナーゼを触媒としたアシル転移反応による可能性があると考えられた。これらの結果から、塩化カルシウムを使用することで減塩スケソウダラ卵の品質を向上できたと考えられた。

 

 (C. Chen, E. Okazaki, K. Osako Volume 213, June 2016, Pages 268–273)