国立大学法人 東京海洋大学 海洋科学部 食品生産科学科

ニュース記事「Zhongさんの論文」

  Zhongさんの論文「Characterization of endogenous proteases from lizardfish (Saurida Wanieso) viscera and associated salt-dependent properties International Food Research Journal に掲載されました。その内容は以下の通りです。 

 

  すり身製造時の副産物である、ワニエソの内臓を有効利用することを目的として、これに含まれる自己消化酵素の特性を調べた。その結果、2つのプロテアーゼ活性グループが見出され、それらの至適温度および至適pHはそれぞれ、55℃でpH745℃でpH11であった。プロテアーゼ阻害性および蛍光基質特異性の分析結果から、本種内臓の主要プロテアーゼはセリン型プロテアーゼであることが分かった。塩化ナトリウムの触媒活性への影響およびプロテアーゼの熱安定性を調べるため、5%から25%の塩化ナトリウム水溶液中に30日間置いたところ、プロテアーゼの触媒活性は増加し、プロテアーゼの熱安定性もまた15%の塩化ナトリウム水溶液中で顕著に増加した。これらの結果から、塩化ナトリウム水溶液中のプロテアーゼが食塩に依存する挙動を示し、この触媒活性および熱安定性の塩化ナトリウム依存性の変化が、発酵食品の製造に適用しうることが示唆された。

 

(C. Zhong, L.C. Sun, J.T. Geng, E. Okazaki, M.J.Cao, W.Y.Weng, K.Osako Volume 23, August 2016, Pages 1145–1153)