― 漁港のエコ化実証実験(長崎県対馬市豆酘漁港) ―

平成23年7〜10月

 「らいちょうS」を使った「漁港のエコ化実証実験」が長崎県対馬市豆酘漁港において、急速充電器や太陽光発電システム・陸上充電システムを設置し、実施されました。実際の漁業を通して電池推進船の漁業への有用性を評価するため、「らいちょうS」の操作特性・安全性・騒音レベル・航行可能距離等の確認、「らいちょうS」システムの安定性、CO2排出量の削減効果や燃料費の削減による経済効果の試算等を行い、以下のような結果が得られました。

漁港のエコ化実証実験
  1. 航続可能距離、平均航行距離、平均航速などのデータから、「らいちょうS」は漁港付近の片道5km程度の漁場、養殖場、定置網などの沿岸漁業に適していると考えられる。
  2. 「らいちょうS」はウォータージェット推進器を使用することで、ロープ、網などの上で航行できる。潜水漁業において潜水者に傷害を与えない。定置網漁業において網を通過する際に船外機を上げ下げすることがなく、作業効率が向上できる。
  3. モータの速い応答速度やウォータージェット推進器出口の水流を変換させるリバーサ構によって、極小半径での回頭や急停止が可能となって安全性は大幅に向上した。
  4. 騒音レベルは従来の内燃機関船と比べて、16-19dB程度低減した。
  5. 4ヶ月の運用実績で電池の充・放電状態、温度などのデータから、「らいちょうS」のリチウムイオン電池のセルバランスが安定していることを確認した。
  6. 制御システムの故障が少ないことから、システムの安定性・信頼性も高いと言える。
  7. 従来のガソリンを使用する漁船と比べて、漁船1隻あたりの燃料費の削減率は86%、CO2排出量の削減率は76%という試算結果が得られた。急速充電器などインフラの共有化や再生エネルギーを活用することで、さらに経済効果の向上が期待できる。
― 寒冷地実験(北海道寿都郡) ―

平成24年2月

 一般的に電気自動車は、寒冷地では電池の性能低下のために出力に問題が生じるとされています。
 電池推進船は昆布漁などの北国の漁にも使用の可能性が大きいので、電池推進船の機能が寒冷地でどの程度低下するかを調べることを目的に北海道寿都において実験が行われました。実験の結果、大気温度がマイナス15度程度でも海水温はマイナス1度程度であり、船底にある電池は大気温度の影響を受けず、電気自動車のような寒冷地問題はないことがわかりました。また、電池推進船は暖機の必要がないため、極寒時のコールドスタートはエンジン船よりはるかに容易であることも実証されています。

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