低炭素社会を実現するための極小エネルギー輸送体系の構築

第二層 モーダルシフト

冷凍技術を利用した食品流通工程のエネルギー最小化に関する研究

鈴木 徹
鈴木 徹 SUZUKI Toru

海洋科学部 食品生産科学科

渡辺 学
渡辺 学 WATANABE Manabu

海洋科学部 食品生産科学科

近年,我々の社会のあらゆる側面でグローバル化が進んでおり,食品の流通も例外ではありません.食品は,工業製品に比べると劣化が非常に速いという特徴を持ちます.このため,輸送時間は短かい方が望ましく,航空機による輸送も行われていますが,単位輸送質量当たりのエネルギー消費が非常に大きいという欠点を持ちます.
一方,食品は低温に保つことで,劣化の進行を抑えることができます.中でも冷凍は原理的に優れた食品保存方法であるため,冷凍技術を上手に利用すれば,あらゆる食品を,良い品質で,しかもエネルギー消費を抑えて流通させることが可能になると考えられます.本研究では,
  • 食品流通のライフサイクルでの環境負荷の定量化
  • 食品の品質の定量評価方法の開発
  • 食品の品質と価値の対応関係の解明
  • 食品の価値と環境負荷を考慮した流通工程の最適化
などに取り組んでいます.
環境負荷の定量化方法

宮城県で水揚げされたサンマは,氷詰にしてトラックで東京の築地市場まで運ばれています.しかしこれを冷凍輸送に切り替えることで,発泡スチロールの使用量を抑えることができて,ライフサイクルでの環境負荷は小さくなることが,計算の結果わかりました.

WTP測定官能試験概要 同じ網で獲れたサンマを,半分はそのまま,半分は凍結−解凍して,官能評価を行い,支払意思額(WTP)を測定しました.その結果,凍結の有無に依らずWTPはほぼ同額,すなわち消費者受容性には大差がないことがわかりました.しかし,冷凍品であることを明らかにして同じ試験をすると,WTPは優位に低下しました.消費者が冷凍品に悪いイメージを抱いていることが原因と考えられます.
総合評価
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