下図に人工海水に浸漬した酸化チタンを溶射したSUS304の腐食電位を示す。擬似線源を密着させた試験片が浸漬開始4日ほど経過した時点で大きく卑化したのに対し、RI放射線源を密着させた試験片は、その後8日以上ほぼ同じように推移した。これは、擬似線源を密着させた試験片では、不働態被膜の破壊と再生を繰り返した後、局部腐食へと発展することで、電位が低下したものと考えられる。
一方、RI放射線源密着試験片では放射線が供給されたことで局部腐食が萌芽状態で抑制され、腐食緩和効果が発現したものと考えられる。このことから、材料からの微弱放射線によりRISA腐食緩和効果が得られれば、原子炉内構造物以外の、例えば非放射線照射環境下の船舶・海洋構造物等への応用が期待できる。