ミニチャンネル二相流

1.背景
 近年,高転換軽水炉の炉心,高性能電子デバイスなどの冷却に関連して,細管内気液二相流に関する研究は,活発に行われている.これまで,多くの実験的研究により,細管内気液二相流の流動様式,気液速度,ボイド率及び圧力損失などの知見が得られてきた.このような知見,またこれによるメカニズムの解明は,実際の現象を把握する上で,工学的に非常に重要である.このような背景から,本研究では細管内気液二相流の,管軸方向の界面発達特性の計測を行う.

2.実験方法
 本実験では気相に窒素,液相に純水を用いた両相とも高圧ガスによって加圧され,流量調節された後,気液混合部を通りD = 1.02 mmおよびD = 0.55 mmのテスト管に流入する
 本研究では,画像処理の適用可能範囲である気泡流からスラグ流領域を対象として実験を行った.細管内の摩擦損失は非常に大きいため,気相の見かけ速度は管軸方向に対して大きく変化する.従って本実験においては,管断面に対する気液混合部からの距離z/D = 250における見かけ速度を代表の見かけ速度として実験条件を決定した.本実験は,大気圧環境下,温度20 oCで行った.

3.実験結果
 テスト管D = 1.02 mmにおける流動画像をFig. 1に示す.画像からわかるように,いずれの実験条件においても管軸方向の発達に伴い,気泡数は減少し,気泡体積は増大している.特に高気相流量条件,高液相流量条件において軸方向の変化が顕著に現れている.この事から各相流量の増加に伴い,摩擦損失が大きくなることで,界面輸送が活発になると考えられる.
 Fig. 2は,z/D = 250において計測された平均ボイド率を基に,ドリフトフラックスモデルにより相関付けられた気相速度vgと全容積流量jの関係を示している.図中には比較のため,Ishiiの気泡流域におけるドリフト速度構成式(1)Mishima-Hibikiの管径の影響を考慮した分布パラメータ相関式(2)及びHibiki-Ishiiの壁面摩擦の相間相対速度への影響を考慮したドリフト速度構成式(3)による値をそれぞれ示した.図からわかるように,本実験結果はHibiki-Ishiiの構成方程式と最も良く一致する傾向を示した.