上の写真は、管内の水面を撮影したものです。親水管は壁面に水が付着するので、水面が谷型になっています。対して、撥水管は壁面で水を弾くので、水面が山形になります。
下の写真は、平面のプレートに同様の濡れ性を与え、水滴を落とした様子です。違いがはっきりとわかります。
気液二相流に影響を及ぼす主要因子の1つとして、管内壁面の濡れ性が考えられています。通常のボイラ伝熱管などでは、管内壁面が超親水状態であり、また、膜沸騰領域を超えた温度における管内壁面では撥水状態が生じています。
しかし、現時点では、管壁面の濡れ性が流動様式に及ぼす影響についての知見は非常に限られています。 私達の研究では、濡れ性の異なる3本の垂直管(通常管、撥水管、親水管)を使用し、管内の気液二相流の流動特性を評価します。
本研究では、管内の流動様式、平均ボイド率や摩擦損失を測定することにより、評価しています。
逆チャーン流
液滴流
左右の連続写真は、撥水管で撮影された流動様式画像です。
左の写真は、逆チャーン流またはドラゴンフローと命名し、液相が管中心部を上昇または下降を繰り返す流動となっています。
右の写真は、液滴流として評価しており、噴霧流よりも大きい液滴が分散して上昇しています。
左の写真の逆チャーン流は本研究で初めて確認された流動様式であり、現在、詳細な流動特性を解析しています。