JICA案件,ダッカ都市圏交通計画が始まり,初めてバングラデシュを訪れる.
ダッカは東京23区ぐらいの都市圏域に,1,000万人が住んでいる.しかも軌道系
手段がなく,道路も狭いため,(おそらく)現段階で世界最悪の交通渋滞都市では
ないかと思われる.
写真はバングラの代表的・ユニークな交通手段である「リキシャ(Rickshaw)」だ.
まずは動画で雰囲気を確認して頂ければと思う.
この動画はOld Dhakaと呼ばれる旧市街の走行風景.
市内の大通りにおける渋滞.バスが異様に多いことが分かる.分担率の70%程度を
占めるらしい.マニラでも有名だが,バス停付近で乗客の取り合いを行うので,
無茶苦茶な運転となり,それが渋滞を引き起こす.
この交差点における動画はこちら.歩道橋の上から撮った.
同じ歩道橋から撮った,違う道路の渋滞の様子.
ここではないが,郊外南部のNarayanganjという街における走行の
動画はこちら.「チロリン」という音はリキシャのベル音だ.

バスの整備状況は劣悪である.こんなバスが大半で,その傷跡はバス同士の
バトルの激しさを物語っている.
この動画にも酷いバスが登場.
リキシャとCNGで走るベビータクシーがあるため,あまり通常のタクシーを見かけない.
でも走っていたとしても,こんなタクシーだ.乗用車も含めて,プレートナンバーが
手書きの車が多い.そんなのアリか?
これがCNG車,あるいはベビータクシー.東南アジアでよく見かける乗り物ですね.
以前は二気筒のガソリン車で,大変な大気汚染を巻き起こしたらしいが,ダッカ市内は
完全にCNGに切り替わっている.
リキシャは都市内物流の担い手でもある.あちらこちらで二・三人がかりで荷台を
ノロノロ動かす姿を見かける.郊外で撮った,この動画で確認できる.
では,「ソウルの練習問題」ならぬ,「ダッカの練習問題」を.
この交差点で上から下方向に13台のバスが停止している.ここは信号のない
(あったとしても殆どは点灯していない),交通警官によるマニュアル制御で,
これらのバスの右折は禁止されている.
さて,この13台のバスの直進,左折の割合はどの程度か.左折するのは
何番のバスだろうか? 答えはこの動画で.
郊外の河川港があNarayanganjの渡船風景.立ち乗り船と,屋根のある船が併用されている.
多少値段が違うのだろうか.
交通状況は悲惨だが,『優しいベンガル人』という標語の通り,愛すべき国民性を持った
国である.1971年の独立(東パキスタンからバングラデシュへ)以来,大きな戦乱もなく,
平和が続いている国ならではだろうか.

さて,今回のGPS軌跡はここから.
 →一旦,Google Mapsが起動するが,「Google Earthで表示」をクリック.
  Google Earthのサブメニューで「Track」のチェックを外すと速度表示も可能となる.

平日の夕方の帰宅ラッシュに巻き込まれ,以下の図の通り,11Km移動するのに,84分
かかった.平均時速約8[Km/h]という超低速.
なお,今回より,GPSロガーとして,台湾製のWintec G-Rays(WBT-201)を用いている.
これはソフトが充実しており,Google Earth対応のKMLフォーマットもはき出してくれるので
大変便利だ.1万円程度の製品なので,今回調査でも有効利用してほしい.
最後に書籍の紹介.
リキシャについて極めて多角的な分析を行っている学術本がある(1992年出版).
タイトルは,"The Rickshaws of Bangladesh"で,Rob Gallagherという,バングラデシュ
工科大(BUET)に10年間滞在したイギリスの先生が書かれた本で,700頁近い大作である.
Amazonの新刊本としては注文できないが,古本では$50程度で出回っているようだ.
兵藤はダッカ市内の高級ホテルの売店で購入した.定価通りの360タカで,日本円で500円
程度だ.安い,良い買い物であった.
さて,本の記述によれば,リキシャの数は人口の4%程度とのこと.1,000万人口のダッカには,
40万台のリキシャがあり,二人で一台のリキシャを運行するそうなので,リキシャ運転者が
80万人いることになる.リキシャ市場は,バングラデシュらしい,互恵の精神を体現する一大
雇用創出機能を果たしているのだ.