気象現象は海洋と密接に結びついています.例えば熱帯太平洋でのエルニーニョ現象は熱帯のみならず全地球的に影響がある現象ですが,これは海洋と大気の変動が互いに影響を及ぼし合いながら進行する現象です.このような大気と海洋が相互に影響し合う現象を中高緯度
についても明らかにすることを目標としています.そのために過去100年以上蓄積 された船舶による海上気象観測データ等を使って過去に起こった大気と海洋の変動現象を調べています.例えば北太平洋の海面温度の変動が上空の偏西風の変動とどのように関係するかなどを調べています.また,海面水温の変動がどのような要因で起こるのかも調べています.その他,人工衛星データや高解像度大気海洋
モデルの出力などを利用して,海洋フロント域で起こる大気海洋相互作用の研究にも取り組んでいます.これらの研究成果は長期的な大気や海洋の変動の予測を行うためにも役立つものです.
この研究の一環として,船舶による海上気象観測データの誤差評価や船舶での風観測や気温観測に及ぼす船体影響を,資料解析や数値流体力学モデルによるシミュレーションを行って調べています.
参考文献