ルンゲ-クッタ法では,エネルギーは保存しないが,非常に長時間にわたって計算が行えることが分かった. これを使って,ファン・デル・ポール(van del Pol)方程式の計算を行ってみよう.
ファン・デル・ポール方程式は,非線形力学の分野で有名な方程式である.
ほとんど,バネ・マス・ダンパ系の方程式であるが,ダンパの部分(減衰項)が非線形になっている. \(|x|>1\) では減衰項が抵抗として働く(振動を小さくしようとする)が, \(|x|<1\) では,負の抵抗として働く. 振動を大きくしようとする.
プログラムをほんの少々変更すれば計算できる.
以下の図は, \(\mu=1.5\) , \(x(0)=0.5,v(0)=0.0\) の初期条件で計算を行った結果である. [tmax = 30.0d0,n=3000(時間刻みは0.01)]
位置の時間変化.振動がひしゃげている.
速度の時間変化.
縦軸速度,横軸位置の相平面.
次は, \(\mu=0.1\) , \(x(0)=0.1,v(0)=0.0\) の初期条件で計算を行った結果である. [tmax = 3000.0d0,n=300000(時間刻みは0.01)]
位置の時間変化.
速度の時間変化.位置,速度ともに徐々に振動が大きくなり,その後周期的な振動を維持する.
縦軸速度,横軸位置の相平面. 原点近くからスタートして,徐々にほぼ円形の軌道に漸近していく.この軌道をリミットサイクルという. \(\mu\) が小さいときは単純な調和振動子に近い振舞いをする. 調和振動であれば相平面は円である.
Note
〔 ストロガッツ 非線形ダイナミクスとカオス ,Steven H. Strogatz,田中久陽ら訳(丸善出版,2015) 〕