このページでは、JKAによる「競輪とオートレースの補助事業」の支援により2022年度に実施している
研究の概要や成果について紹介していきます。
利用可能な無線通信方式の種類が増加し、つながった1本の無線接続を主に用いて通信するという使い方から、
無線通信方式の特徴や、利用場所の通信環境を考慮したより良い通信品質を利用可能な社会が到来しています。
異なる種類の無線通信を連携・併用することで1本の回線では実現が難しい通信品質を達成することを目的として、
ゲートウェイ型の通信制御装置を開発しました。通信制御装置はFPGAを用いたハードウェアアクセラレーションを可能とし、
パケット処理の高速化によるスループットの向上も実現しています。
開発した通信制御装置により、移動による無線接続の変化に対する移動透過性と、
冗長通信による通信の安定化を可能としました。
本研究では、複数の無線通信インタフェースを利用可能とする、SOM(System on Module)用のキャリアボードと、
パケット処理をハードウェアで行うためのFPGAボードを主に開発しました。
上図はSOM用のキャリアボードで、中央のスロットにSOMを装着します。
SOMではLinuxが稼働し、M,2接続の無線通信インタフェース、有線LANインタフェース、USB接続の通信インタフェースを装着可能です。
上図はFPGAボードになります。ボード上に実装した有線LANインタフェースを介してSOMキャリアボードとパケットをやり取りします。
冗長処理やヘッダ付与をFPGAがハードウェア的に行うことで処理を高速化できるようになっています。
SOMキャリアボードとFPGAボードを組み合わせて構成する通信制御装置は上図のようになります。
この図では、LTEモジュールとWi-Fiモジュールをそれぞれ2基ずつ無線通信用に搭載しています。
開発した通信制御装置はゲートウェイとして動作し、通信制御装置間で移動透過性と冗長通信をサポートする通信制御を行います。
通常、IP網は接続するネットワークが変わるとアドレス情報が変化し、それまでの通信セッションの継続が困難になる場合があります。
開発したシステムは、移動による接続ネットワークの変化時でも通信セッションを継続可能で、
無線通信品質の変化時にも冗長通信により通信の安定化を図れるよう通信制御を行っています。