海面高度画像から地衡流を推定する.

 
  上図は2012年4月・5月の海面高度分布図です。 暖色系は海面高度がだいたい100cm以上となっています。地衡流の関係式から考えると、海面高度が急激に変化する箇所で流速が大きくなるはずです。距離と海面変位、コリオリパラメータさえわかれば、流速が計算できます。

 (使用データ)
2012年4月平均海面高度画像 2012年5月平均海面高度画像 2012年6月平均海面高度画像

※画像サイズは 141×121 前回の海面水温と同じ!
※緯度経度情報:25.09°N~55.05°N、120.17°E~155.14°E
※4バイトのバイナリファイル
※欠損値は-999


課題1:前回の水温データと海面高度データの関係を調べてみよう
サンプルスクリプトのダウンロード(soukan2.f95)

以下の範囲で相関係数を計算してください
①緯度経度:25.09°N~40°N、140°E~155.14°E
②緯度経度:42°N~50°N、144°E~150°E
①と②の場合の相関係数と相関係数が異なる理由をまとめて、学務システム経由で提出すること。


http://www.seafriends.org.nz/oceano/seawater.htm



課題2:5月のデータを読み込み、地衡流計算をするスクリプトを作成
地衡流の速度は、「流れが定常で、非線形項・粘性項が無視できる」としたとき、
運動方程式から以下のように計算できる。

 
ここでu・v は流速の東西成分・南北成分であり、ρは密度、fはコリオリパラメータ(
2Ωsinθ, θの単位はラジアン)、
Pは圧力、x・yは2点間の東西方向・南北方向の距離である。

P=ρgη の関係から、上の2式は以下のようになる。

 ,    

gは重力加速度(9.8 m/s^2)、Lx、Lyは2点間の距離である。
ηは海面変位で、この講義では上の海面力学高度データを用いる。

LxおよびLyの求め方は以下のとおり。



以下の問いに答えること.
 (a) 経度144Eにおける流速の東西成分の最大値を求めよ.
 (b)八丈島付近で流速の東西成分の最大値を求め,その緯度も答えよ.

※注意点
 単位を揃えること.海面高度は"cm"なので"m"に単位換算しないといけない。
 重力加速度は 9.8 m/s
 ちなみにコリオリパラメータfは 2Ωsinθで計算する
 Ωは 7.292×10-5
 θは緯度.ラジアンに変換すること.2Π=360°

隠しコマンド

 以下の2つをダウンロードしてください
  • 地衡流計算スクリプト
  • 距離を計算するサブルーチン(distll.for: 中分緯度航法)


(中身を理解した上で、穴埋め)
20行目:1ピクセルで経度方向にいくら変化するか?:これはおさらい
21行目:19行目で入力する経度の、画像上における座標(カラム方向のみ):これもおさらい
38行目:コリオリパラメーター
39行目:地衡流推算の式

(サブルーチンdistll.fの説明)
中分緯度航法のサブルーチンdistll.forを組み込み、流速を計算する。
スクリプト内におけるサブルーチンの呼び出し:
予め2点間の緯度経度(lat1,lon1とlat2,lon2)を計算しておき、以下のように呼び出すと変数distに計算された距離が入力される。
call DISTLL(longitude,lon1,longitude,lon2,dist)

(コンパイルと実行)

読み込みスクリプトの名前が calgvt.for だとする。
1)まずはサブルーチンをコンパイルする
  g95 -c distll.f
  →これで"distll.o"ができる.
2)g95 -o calgv calgv.for distll.o:
  →"calgv.for"をコンパイルする
3) ./calgv :2点間の海面高度偏差の差と距離を計算する。


こたえ