研究概要
 当研究室では、油(特に魚油に関して研究を行っています。現在行っている主なテーマは以下のとおりです。このテーマは毎年少しずつ変化します。

 

教育研究の特徴

 当研究室で行っている内容は世の中で以下のように役立っています。

● 現在、厚生労働省、農林水産省と一緒に、油脂加工食品中の油脂の劣化に関する研究を行っており、即席めん中油脂の国際規格(Codex)設定作業を行っている最中です。その中で、過酸化物価、酸価などの各種油の劣化指標を測定しておりますが、この測定方法は多くの場で、油の品質管理に使用されている方法です。

● 当研究室の中心テーマの1つに、「油の主成分トリアシルグリセロール(TG)の分子種分析」というものがあります。TGには脂肪酸(DHA、EPA、リノール酸、オレイン酸など)が3つ結合しておりますが、TG分子種分析では、どのような脂肪酸がどのような組み合わせでTGに結合しているかを分析します。このTG中での脂肪酸の結合は重要で、その結合の仕方により様々な保健効果(体脂肪になりにくい、血中中性脂肪が下がる、血中コレステロールが下がる)を示します。この考え方を応用したのが、健康エコナクッキングオイル(花王株式会社)やヘルシーリセッタ(日清オイリオ株式会社)などの特定保健用食品であり、多くの方に食用油として利用されています。当研究室で開発されたTG分子種分析法は、天然油脂中に含まれるTGの保健効果を予測するための分析法として世界中の多くの場で使用されています。

● 当研究室で行っている一連のにおい分析では、固相マイクロ抽出法(SPME)という方法を使用しております。本法は、スペースシャトル内の実験室でも使用されている方法で、多くの場で、最新のにおい研究法として使用されています。

さまざまな食品素材からの脂質抽出、分析実験

●油脂加工食品(即席めん、ポテトチップ、お惣菜など)に含有される油脂の酸化と毒性に関する研究

  現在、厚生労働省、農林水産省と一緒に、油脂加工食品中の油脂の劣化に関する研究を行っており、即席めん中油脂の国際規格(Codex)設定作業を行っている最中です。

 ●油の主成分トリアシルグリセロールの分子種分析

  TGには脂肪酸(DHA、EPA、リノール酸、オレイン酸など)が3つ結合しておりますが、TG分子種分析では、どのような脂肪酸がどのような組み合わせでTGに結合しているかを分析します。

 ●油の酸化劣化時に生じるにおいに関する研究

  油が酸化した時に様々なにおいを発生します。たとえば魚油のにおい(あのにおいです!)は、多くの成分により構成されています。このにおいに関する研究です。

 ●かつお節のにおいに関する研究

  かつお節のあのにおいにも油がかかわっています。この研究は、かつお節のにおい中にどのような油脂由来のにおい成分が存在するかを調べる研究です。

 ●カペリンカラフトシシャモ)中に含まれる脂肪酸の保健機能に関する研究

  現在、魚売り場で「ししゃも」として売られている魚の99%は北欧から輸入されている「カペリン」という魚です。この魚のメスは好んで食されますが、オスはあまり利用されていません。本研究はその点に着眼した研究です。

 ●油脂を指標としたアンチョビーの熟成に関する研究

  ピザやパスタで使用しているアンチョビーの熟成に関する研究です。熟成期間中に起こる脂質成分変化に関して研究しています。

その他、研究室の特徴
◎研究室では、食品脂質に関する世界の情報を得ていると同時に、世界の研究機関や研究者と協調して関連学会に寄与しています。

  例えば、来年5月に、米国・オハイオ州・シンシナティ市で開催されますAOCS(アメリカ油化学会)とJOCS(日本油化学会)の合同シンポジウムにおいて、和田が日本側代表を務めることになっております。