国立大学法人 東京海洋大学 海洋科学部 食品生産科学科

ニュース記事「高橋さんの論文がLWT - Food Science and Technologyに掲載されました」

 髙橋さんの論文「Effect of various protease inhibitors on heat-induced myofibrillar protein degradation and gel-forming ability of red tilefish (Branchiostegus japonicus) meatLWT - Food Science and Technologyに掲載されました。その内容は以下の通りです。 

 

 市場価値の低い小型アカアマダイを練り製品原料として有効利用するために、内在性プロテアーゼが本種筋肉の加熱ゲル形成能に及ぼす影響を検討した。加熱温度3080℃では加熱ゲルは得られず、4070℃の温度帯において、ゲル化に必須であるミオシン重鎖の分解が顕著であった。種々のプロテアーゼ阻害剤の添加により、本種筋肉の自己消化は抑制され、加熱ゲル形成能は改善した。特に、1,10-フェナントロリン、ベンズアミジン、および大豆由来トリプシンインヒビターの混合物は、単体で阻害剤を使用した場合よりもゲル形成能を改善させた。ミオシン重鎖を分解する主要な酵素の1つがトリプシン様セリンプロテアーゼであること、また金属イオン依存性プロテアーゼが、筋原線維タンパク質の分解に影響を及ぼすことが示唆された。以上より、セリンプロテアーゼ阻害剤およびキレート剤を用いて自己消化酵素の活性を抑えることで、本種筋肉が練り製品の原料となり得ると結論付けた。

(K. Takahashi, K. Kurose, E. Okazaki, K. Osako Volume 68, May 2016, Pages 717–723)