国立大学法人 東京海洋大学 海洋科学部 食品生産科学科

ニュース記事「Gengさんの論文」

 Gengさんの論文「The influence of proteases on the browning of dried squid products processed by air-drying」がFood Research International に掲載されました。その内容は以下の通りです。 

 

 乾物として使われるスルメイカ(Todarodes pacificus)の外套膜が空気乾燥中に劇的に褐変する原因を明らかにするため、乾燥イカ製造工程中における褐変への内在性プロテアーゼの影響を調査した。メイラード反応に関与する遊離アミノ酸(FAA)の生成における内因性プロテアーゼの関与が示唆された。空気乾燥中の褐変とミオシン重鎖の分解はメタロプロテアーゼインヒビター(特にEGTA1,10-フェナントロリン)、およびセリンプロテアーゼインヒビター(特にPMSF)の添加によって明らかに軽減された。乾燥した製品中の総FAAの量は、1,10-フェナントロリンを添加した場合0.17%増加し、EGTAを添加した場合は5.0%増加した。自己分解モデルにおいて、タンパク質自己分解は1,10-フェナントロリンの添加によって大きく抑制された。さらに1,10-フェナントロリンの添加は、アルギニン(Arg)を含む総FAAsの増加を軽減した(EGTA, PMSFを添加した場合も同様であった)。以上の結果から、内在性のメタロプロテアーゼとセリンプロテアーゼは、空気乾燥中におけるArg等のFAAsの生成に影響を与え、製品の褐変を促進することが示唆された。

(Jie-Ting Geng, Toshiki Kaido, Masaru Kasukawa, Kigen Takahashi, Emiko Okazaki, Kazufumi Osako )