9.  受身

9.1  受身の作り方

9.1.1  現在時制・過去時制の受身

受身の基本は be動詞 + 過去分詞 です。まずは現在時制と過去時制の受身の例文を見てみましょう。

Hammers are stored in this tool cabinet.
ハンマーはこの道具キャビネットに保管されている。
The door was locked.
ドアには鍵がかかっていた。

現在時制の受身の文では、主語の人称と数に合わせて、be動詞を is, am, are のいずれかに変えればできあがりです。上の例文では主語が hammers と複数なので、are stored が続いています。過去時制の受身の文では、be 動詞 をやはり主語の人称と数に合わせて、was か were にすることになります。上の例文では主語が the door と単数なので was locked となります。

9.1.2  完了時制の受身

完了時制の受身はどうなるでしょう。現在完了が、have/has + 過去分詞 の形をとることはすでに学習しました。This door is locked. という現在形の受身の文を、現在完了時制に変えてみましょう。主語の後に has を入れ、is を過去分詞の been に変えればできあがりです。

The door is locked.  (主語が3人称単数なので has を主語の後に入れる)
→ The door has is locked.  (is を過去分詞に変える)
→ The door has been locked.

このように現在完了の受身は、have/has been + 過去分詞 の形をとります。過去完了の場合は、have/has のかわりに had を使えばよいので、had been + 過去分詞 の形になります。以下にもう少し例を挙げておきます。

The speed has been reduced
速度は落としました。(直訳:速度は落とされている)
The bridge had been notified when we blew tubes.
スートブローした時には、ブリッジは報告を受けていた(=ブリッジに知らせてあった)。

9.1.3  進行時制の受身

最後に、The floor is cleaned. という現在時制の受身の文から、現在進行時制の受身を作ってみましょう。現在進行形は be + 動詞の -ing 形 を使って作るので、まずは主語の人称と数に合わせた be動詞を主語の後に入れることから始め、次に is をその-ing形 の being 変えれば、現在進行時制の受身の文の完成です。

The floor is cleaned.   (主語の時制と態に合わせた be 動詞を主語の後に入れる)
→ The floor is is cleaned.  (元の動詞を -ing 形にする。is の ing形 は being である)
→ The floor is being cleaned.

このように進行時制の受身は be being + 過去分詞 の形をとります。現在進行なら is/am/are、過去進行なら was/were のあとに being + 過去分詞が続きます。以下に例を挙げておきます。

Nobody should enter the crankcase when the engine is being turned.
エンジンをターニングしている最中は、誰もクランクケースに入ってはならない。
The machine shop was being cleaned.
工作室は掃除中だった。

9.1.4  助動詞の入った文の受身

助動詞が使われた文の受身はどうなるでしょう。The floor is cleaned. に助動詞 should を加えてみましょう。助動詞の後には動詞の原形が来るので、is がその原形の be に戻り、その後に cleaned が続きます。このように、助動詞の入った文の受身は、助動詞 + be + 過去分詞 の形をとります。

The floor is cleaned.    (floor の後に should をいれる)
→ The floor should is cleaned. (is が be にかわる)
→   The floor should be cleaned.

9.1.5  受身のまとめ

時制 形式 例文
現在 is/am/are+過去分詞 The machine shop is cleaned everyday.
工作室は毎日掃除されます。
過去 was/were+過去分詞 The machine shop was cleaned yesterday.
工作室は昨日掃除されました。
現在完了 have/has been + 過去分詞 The machine shop has been cleaned already.
工作室はもう掃除されています。
過去完了 had been + 過去分詞 The machine shop had not been cleaned then.
工作室はそのときまだ掃除されていなかった。
現在進行 is/am/are being + 過去分詞 The machine shop is being cleaned now.
工作室は現在掃除中です。
過去進行 was/were + 過去分詞 The machine shop was being cleaned.
工作室は掃除中でした。
助動詞 助動詞 be + 過去分詞 The machine shop should be cleaned.
工作室は掃除されるべきです。


9.2    日本語との対応

前節で挙げた例文で、英語の受身の文と日本語訳の対応関係を、今一度確認してみましょう。

Hammers are stored in this tool cabinet.
ハンマーはこの道具キャビネットに保管されている。
The door was locked. 
ドアには鍵がかかっていた。
The speed has been reduced. 
すでに減速しました。(速度はすでに落とされている)
The bridge had been notified when we blew tubes.
スートブローした時には、ブリッジは報告を受けていた。
Nobody should enter the crankcase when the engine is being turned.
エンジンをターニングしている最中は、誰もクランクケースに入ってはならない。
The machine shop was being cleaned.
工作室は掃除中だった。

最初の例文を除けば、英語の受身に「~される」という日本語が対応していないことに気がつくでしょう。「鍵がかけられていた」はなんとかなりますが、「速度は落と されている」「ブリッジは連絡されていた」「エンジンがターニングされている間」「工作室は掃除されていた」という日本語は、かなり不自然に響きます。このように、英語の受身の文は、日本語で常に「~される」という形に対応するわけではありません。

「ドアには鍵がかかっていた」という日本語の、「かかっていた」につられて、The door was locking. とつい言ってしまう日本人が多いのですが、英語ではそうは言いません。lock という動詞は lock the door のように the door を目的語にして、「ドアに鍵をかける」を意味します。その目的語である the door が主語になれば、The door was locked. という受身が要求されるので、 was の後に続くのは過去分詞の locked でなければなりません。

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