2  英語の時制

主語を受ける動詞(これを「述語動詞」と呼ぶ)は、助動詞が使われなければ、必ず時制と態を表しま す。

以下の表は、rise という動詞が能動態で、lowerdischarge という動詞が受動態で、それぞれの時制で使われた例をまとめたものです。これから一つ一つの時制について、まずは能動態で学んでいき、その後、それぞれの時制の受動態を学 んでいくので、今はすべて理解できなくてもかまいません。


能動態
現在 Air temperature rises when it is compressed. 

空気の温度は、圧縮されると上昇する。
現在進行 The exhaust temperature is rising.

排気温度は上昇している。
過去 The engine room temperature rose above 40 degrees yesterday.

昨日は機関室の温度が40度を超えるまで上昇した。
過去進行 The exhaust temperature was rising quickly.

排気温度は急速に上昇していた。
現在完了 The exhaust temperature has not risen yet.

排気温度はまだ上昇していない。
過去完了 The sun had risen when I woke up.

私が目を覚ました時には、太陽は昇っていた。
現在完了進行 The sea water temperature has been rising since yesterday.

海水温度は昨日から上昇し続けている。



受動態
現在 The boat is lowered by gravity.

ボートは重力で降ろされる。
現在進行 The boat is being lowered.

ボートは降ろされているところだ。
過去 The boat was lowered immediately.

ボートは直ちに降ろされた。
過去進行 The boat was being lowered when we arrived.

我々が到着した時には、ボートは降ろされているところだった。
現在完了 The boat has been lowered.

ボートはすでに降ろされています。
過去完了 The boat had been lowered when we arrived.

我々が到着した時には、ボートはすでに降ろされていた。
現在完了進行 The ballast has been being discharged since this morning. (まれ)

バラストは今朝からずっと排出され続けています。


この表は2つのことを示しています。

まず、動詞の形(たとえば rises, is rising, has risen など)が、時制と態の違い、すなわち意味の違いに対応していること。

もう一つは、動詞の過去形と過去分詞形(規則動詞には -ed がつき、不規則動詞の場合は、rise-rose-risen のように動詞ごとに違う)を知らなければ、過去時制、現在完了時制、受動態の文が作れないとうことです。

動詞の時制と態を正しく使うことが大切であればこそ、動詞の活用 (規則動詞、不規則動詞とも) と、時制と態 (現在完了進行の受動態はまれなので除く) は、すべて高校までの段階で導入されます。しかし、これを正確に使いこなすことができる日本 人英語学習者はまれです。

Speaking や Writing を試されることがない資格試験で、そこそこの点を取ることだけを目標としなければならない学習者の中には、この基礎をおろそかにして、ひたすら多肢選択式の問題に正解するための練習を繰り返す方がいるようですが、そのような学習態度では、英語で自由にコミュニケーションをとれるレベルにまでは、絶対に上達できません

例えば日本語を学習している外国人が、動詞の活用を身に着けることなく、すべて「寝る」や「暗殺する」のような終止形を使うとしましょう。「昨日は11時に寝まし た」「ケネディーは暗殺されました」というべきところを、このような学習者は、「昨日は11時に寝ます」「ケネディーは暗殺する」と言うことになります。これでは言いたいことが伝わりません。「11時に寝ます」では昨日ではなく今夜のことかと思いますし、「暗殺する」に至ってはケネディーを殺人者扱いです。英語を学ぶ際にも、同じことが言えます。I go to bed at 11 last night. や Kennedy assassinates. では誤解が生じます。I went to bed at 11 last night. や Kennedy was assassinated. と言わねばなりません。

まずは意識的に、それぞれの時制と態に対応する正しい形で、書けるようにすることが大切です。書けないことは話せません。次に繰り返し口に出して練習し、正しい形を意識しなくても、今バルブを開けている最中なら、I am opening the valve.  すでに開けてしまったのなら、I have already opened the valve. のようにすらすらと言えるようになれるまで反復練習することが大切なのです。

まずは、現在時制と現在進行時制から始めましょう。

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