最初の文が「PSC検査官が来るとは夢にも思っていなかった」、次の文が「魚網に注意しろ」、最後は船をsheで受けて、「変針した」となることは、容易に想像がつくはずです。そこでどんなに弱く短くなっても「ザッザ」と聞こえる部分は、接続詞の that と inspector につく冠詞のthe であることが、また「ファ」と聞こえる部分は、watch out for X にあたる for であることがわかるのです。また She's の 's は後に続く動詞が altered と過去分詞で、受け身を作るわけではないので、当然現在完了の has が弱くなったものです。この違いは意味からしか決定できません。

このように弱く、短く、あいまいに聞こえる機能語の聞き取りには、文法知識が大切な役割を果たしています。予測できるから聞き取れるといってもいいぐらいです。that the が日本語式にはっきりと「ザット ザ」や、for が「フォア」とはっきり聞こえることを期待していたのでは、いつまでたっても自然なスピードの英語が聞き取れるようになりません。

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