例えば x+y+1=0という直線を考える代わりに
z = max(x,y,0) という2次元のグラフの折れ曲がりを考えることができます.
このように(+,×)という通常の演算の
代わりに(max,+)という演算を用いて作られた幾何学を
トロピカル幾何といいます.
また通常の代数多様体からトロピカル多様体を得る操作を
「トロピカル化」といいます.
一方,可積分セルオートマトンとは,ソリトン解を持っていたり
保存量があったりといった
性質を持ったセルオートマトンであり,
可積分な微分方程式系から
離散化および超離散化を経て得られます.
この「超離散化」と「トロピカル化」
は出所は違いますが
実は殆ど同じ操作です.
このことに着目して可積分セルオートマトンの性質を
トロピカル幾何を用いて調べることができます.これまでのところ,最も
基本的な可積分セルオートマトンである
超離戸田格子に対して,周期境界条件の下で一般解を
トロピカル多変数テータ関数を用いて構成することができました.
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