研究

      研究テーマ

      ・ 代数幾何的手法による離散力学系の研究

        離散力学系を初期値空間と呼ばれる適当な複素多様体の族上の写像列と見ることにより, その性質を代数幾何学的な手法で調べることができます.特に対称性,可積分性,複雑さなど を調べたり,方程式を分類したりする上で大変有効な方法であることが,2次元の場合を中 心に明らかになって来ました.またパンルヴェ方程式などの常微分方程式との関係も 分かって来 ています.現在のテーマは初期値空間の方法の高次元化を行うことです.特にガルニエ系や ソリトン方程式の簡約で得られる方程式系の場合に興味があります.また, 他の可積分系理論, 力学系理論,表現論との関係を調べたいと思います.

        最近の進展については以下にまとめてあります.
        「高次元パンルヴェ系の初期値空間と対称性」(2021年3月日本数学会年会特別講演のスライド)

      ・ トロピカル幾何による超離散可積分系の研究

        例えば x+y+1=0という直線を考える代わりに z = max(x,y,0) という2次元のグラフの折れ曲がりを考えることができます. このように(+,×)という通常の演算の 代わりに(max,+)という演算を用いて作られた幾何学を トロピカル幾何といいます. また通常の代数多様体からトロピカル多様体を得る操作を 「トロピカル化」といいます. 一方,可積分セルオートマトンとは,ソリトン解を持っていたり 保存量があったりといった 性質を持ったセルオートマトンであり, 可積分な微分方程式系から 離散化および超離散化を経て得られます. この「超離散化」と「トロピカル化」 は出所は違いますが 実は殆ど同じ操作です. このことに着目して可積分セルオートマトンの性質を トロピカル幾何を用いて調べることができます.これまでのところ,最も 基本的な可積分セルオートマトンである 超離戸田格子に対して,周期境界条件の下で一般解を トロピカル多変数テータ関数を用いて構成することができました.

      ・ 実代数幾何的手法による多項式最適化問題の研究

        目的関数も条件式も多項式で表わされるような最適化問題の性質を 実代数幾何を用いて調べています.


論文リスト 講演リスト(〜2009)

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