UFRL

都市貨物研究室(Urban Freight Research Lab)@東京海洋大学流通情報工学部門では、 交通システムの進化と都市との相互関係に焦点を当て、特に、都市物流と土地利用、及び、 都市物流に関するモデル開発・政策分析に取り組んでいます。自動運転車やドローン等の 新たな交通モードの普及に加え、 世界的なCOVID-19の流行に直面し、諸活動のオンライン化 やEコマースの成長が進む中、この分野における研究は益々重要になると考えています。
  • Address: 135-8533 東京都江東区越中島2-1-6
    e-mail: tsakai2@kaiyodai.ac.jp

NEWS

RESEARCH

  • 分析プラットフォームとしての貨物シミュレーターの開発

  • 長期的な都市構造の変化と物流土地利用

  • eコマースに関する物流政策とソリューション


  • 分析プラットフォームとしての貨物シミュレーターの開発
  • 最新の行動分析モデル・データサイエンスの手法を取り入れつつ、都市・交通シミュレータの継続的な開発・改良を行います。 ビッグデータを含む新しいデータソース(GPSデータ、センシングデータ、カメラデータ、配達記録等)、新たに提案される施策・ ソリューション、 また、コロナ禍や震災・災害対策等の計画ニーズに応じてシミュレータを更新します。 ビッグデータの活用は、このシミュレータに関する研究と共に位置づけ、各データから知見を 引き出すと共に、継続的、及び、オンラインでの分析・利用を検証します。



  • 長期的な都市構造の変化と物流土地利用
  • 過去数十年の物流システムの変容は物流土地利用に大きく影響を与えてきましたが、 Eコマースの定着により、関連物流施設(例えば配送センター)の必要性が一層増すことが予測されます。 一方、従来の小売店・商業施設が減少や、在宅勤務の普及により、オフィス街における活動の縮小が考えられ、 これに、オンデマンド自動運転車等の普及や需要減による公共交通のサービスレベルの低下などの要素が加わり、 世界的に今後数十年にかけて都市構造が大きく変化する可能性があります。主に物流の観点から、 こうした長期的な都市構造の変化とその交通流・環境への影響について、分析、及び、評価を行い、 都市・地域計画において考慮されるべき事項を明らかにします。



  • eコマースに関する物流政策とソリューション
  • Eコマースは既往の物流システムを大きく変容させており、消費者の利便性を向上させる一方で、 小包配達の増加は貨物流を非効率にしています。 貨物流・貨物交通の効率性は、ほぼ各企業の自律的な取り組みに依存していますが、 それは基本的に、企業利益、及び、サービスの質を優先するために、負の外部性(例えば環境影響) を削減するためには公的なイニシアティブを必要とします。在宅勤務やオンライン講義が一般的になり、 Eコマースの需要は急増していますが、この傾向はさらに続く見込みである点を踏まえ、 次世代の共同配送システム、公共受け取り施設、需要と供給のマッチング (例えば、配送車両・オンデマンド車両の余剰容量を利用した、消費者への宅配サービスの提示)等を提案、評価します。 またその中で、公共セクターの役割や災害時に備えたシステム要件について明らかにします。



    最近の出版物


    Kodera, R., Sakai, T., & Hyodo, T. (2025). Development of a Delivery Time-Period Selection Model for Urban Freight Using GPS Data. Smart Cities, 8(1), 31.

    本研究では、首都圏のGPS軌跡データを用いて、GPSデータから推定される擬似出荷記録を基に、 出荷配送時間帯選択モデルを推定する手法を提案した。その結果、貨物の距離、サイズ、 配送先の属性が貨物の配送時間を説明できることが示された。さらに,異なる特徴を持つ3つの地域について, シミュレーション結果と観測データを比較することで,モデルの実用性を実証し, 出荷配送時間帯の空間的不均一性を正確に再現するために,このモデルを都市貨物シミュレーションモデルに適用できると結論付けた. 本研究は、ビッグデータを利用して配送をより良く理解し、関連する先進的な都市物流ソリューションの開発を 支援する手法を提案することで、スマートシティの開発と管理の促進に貢献するものである。

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    Motojima, R., Sakai, T., & Hyodo, T. (2024). Development of an online daily goods shopping demand model using internet-based consumption behavior survey data. Transportation Research Record, 03611981241270172.

    本研究では、日本においてインターネットを利用したアンケート調査を実施し、過去の対面およびオンラインショッピング行動に関するデータを収集するとともに、総額と注文サイズ(または注文頻度)に関する電子商取引の配送需要を同時に推計する世帯ベースの電子商取引需要モデルを開発した。推計されたモデルパラメータを用いて、モデルを用いた感度分析を実施し、配送サービスの変化が電子商取引の配送需要に与える影響を把握した。食料品と日用品に焦点を当て、モデルフレームワークの能力を実証することに成功し、実データに基づいて開発されたモデルを用いて、宅配サービスの特性が家計のeコマースへの依存に与える影響についての洞察を得た。

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    書籍


    Handbook on City Logistics and Urban Freight, Edoardo Marcucci, Valerio Gatta, Michela Le Pira (ed.) Edward Elgar. 2023.

    Chapter 5: Evaluating city logistics solutions with agent-based microsimulation
    Takanori Sakai, Peiyu Jing, André Romano Alho, Ravi Seshadri, and Moshe Ben-Akiva. https://doi.org/10.4337/9781800370173.00013

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    The Routledge Handbook of Urban Logistics, Jason Monios, Lucy Budd, Stephen Ison (ed.) Routledge. 2023.

    Chapter 14: Facility Locations in Urban Logistics
    Takanori Sakai, Adrien Beziat, and Adeline Heitz. https://doi.org/10.4324/9781003241478

    Amazon.jp

    私たちは、以下を含む研究機関の研究グループと国際的な共同研究を行っています。

    MIT-ITS Lab
    University Gustave Eiffel/IFSTTAR (French Institute of Science and Technology for Transport)
    Harbin Institutte of Technology, Shenzhen
    Rensselaer Polytechnic institute
    NYU Tandon School of Engineering

    TEAM

    坂井孝典

    流通情報工学部門 准教授

    2013年以来、都市物流、特に、物流土地利用と貨物交通モデルに関する研究に従事。イリノイ大学シカゴ校では国際的に関心の高いロジステックス・スプロールに関して様々な研究を行い、物流施設の立地動向・立地要因・交通影響に関して多くの知見を得た。関連論文は、Journal of Transport GeographyやJournal of Transport and Land Useなどのトップジャーナルにて発表され、また、Transportation Research Board Annual Meetingにおいて、二年連続(2017年・2018年)でBest Paper Awardを受賞している。 Singapore-MIT Alliance for Research and Technology(SMART)に移籍後は、MIT-ITS Labが開発するエージェントベース都市貨物交通モデルのSimMobility Freightの主担当となり、モデル手法やケーススタディについてTransportation Research Part EやPart Aを含む媒体において多数の論文を発表した。2021年に東京海洋大学にて着任後は、特にEコマースやBtoC配送に焦点をあて、世界5か国の5都市における都市内物流施設の関する研究(Transportation Research Part Aにて発表)や、Eコマース需要モデルの研究(Transportation Research Recordにて発表)などを行っている。また、Edward Elgar、Routledge、Springerといった国際的な出版社の専門家・大学院生向けのハンドブックにも寄稿している。2023年にはOECD(経済協力開発機構)の国際交通フォーラムが主催した都市物流ハブに関するラウンドテーブルに招待され、政策提言の議論に参画した。 現在、米国Transportation Research Board 貨物交通・ロジスティクス委員会(AT015)委員、Institute for City Logistics ダイレクター。

    Google Scholar

    CV

    Aaron Michael Salang

    海運ロジスティクス専攻 (M2)

    小寺 涼太

    海運ロジスティクス専攻 (M2)

    CV

    平林 佑基

    海運ロジスティクス専攻 (M2)

    枦木 佑未

    海運ロジスティクス専攻 (M2)

    Dean Jasper Dizon Tolentino

    海運ロジスティクス専攻 (M1)

    Zhe Song (Sonia)

    海運ロジスティクス専攻 (M1)

    渡邉 杏月

    海運ロジスティクス専攻 (M1)

    Graduates

    田中 慎也(海運ロジスティクス専攻、2025年)

    研究テーマ:広域物流施設の利用を考慮した都市圏内外貨物シミュレーションモデルの開発

    本島 利希(海運ロジスティクス専攻、2025年)

    研究テーマ: エージェントベース都市貨物シミュレーションにおけるツアー生成のためのデータ駆動型ヒューリスティックの開発

    大倉 芽衣(流通情報工学科、2025年)

    研究テーマ:深圳市と東京都におけるマイクロハブの空間的特徴に関する研究

    河﨑 雅浩(流通情報工学科、2025年)

    研究テーマ:大型物流施設による都市空間の利用とEコマースの影響に関する研究

    坂本 結梨(流通情報工学科、2025年)

    研究テーマ:GPSデータを用いた貨物車トリップ発生モデルの推定

    田中 悠一朗(流通情報工学科、2025年)

    研究テーマ:貨物交通に関する都市タイポロジーのフレームワーク構築に関する研究

    谷口 実香(流通情報工学科、2025年)

    研究テーマ:都市における貨物自動車の駐車時間に関する研究: 東京都市圏のデータを用いた生存モデルの開発

    大沼 祐犀(流通情報工学科、2024年)

    研究テーマ:オンラインショッピング利用に関する共分散構造分析:鉄道へのアクセス性に注目した日米の比較

    森 晴太(流通情報工学科、2024年)

    研究テーマ:2つの交通センサスデータを組み合わせたValue Flow推計手法の開発

    松下 莉子(流通情報工学科、2024年)

    研究テーマ: 東京都市圏における工場の立地ポテンシャルに関する研究

    佐藤 辰巳(流通情報工学科、2024年)

    研究テーマ:AISデータによる世界の貨物船航海と港湾利用の実態に関する研究

    藤山 佳穂(流通情報工学科、2024年)

    研究テーマ:宿泊旅行統計を用いた交通施設整備およびコロナ禍の影響分析

    Virgilio Ramos Jr.(海運ロジスティクス専攻、2023年)

    研究テーマ: A Framework for Urban Freight Simulation Focusing on Household E-commerce Demand

    新部 秀悟(海運ロジスティクス専攻、2023年)

    研究テーマ: プローブデータを用いた東京都市圏における貨物車ツアー分析

    鷹野 由利香(流通情報工学科、2023年)

    研究テーマ: 事業所における貨物交通発生集中に関する研究: 東京都市圏を対象とした経年分析

    飯塚 将太(流通情報工学科、2022年)

    研究テーマ: オンラインショッピングと買い物トリップの選択要因に関する研究―コロナ禍のニューヨーク市データを用いた分析―

    三戸 康平(流通情報工学科、2022年)

    研究テーマ: Eコマース向け物流施設の立地に関する研究


    過去の客員研究員

    Lin Xiaohong

    2023年11月~2024年2月、深圳ハルビン工業大学修士課程学生

    Huang Yinghuan

    2023年11月~2024年2月、深圳ハルビン工業大学修士課程学生

    Coriolan Gout

    2022年10月~12月、パリ第1パンテオン=ソルボンヌ大学


    PROJECT

    「2つの交通センサスデータを組み合わせたValue Flow推計手法の開発」

    2024年度科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)・基盤研究(C) 研究分担者/24K07697

    2024年4月~2027年3月

    4,160千円

    「エージェントベース都市圏貨物交通モデルの実装とシミュレーション分析」

    2023年度科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)・若手研究 研究代表/23K13421

    2023年4月~2025年3月

    6,240千円

    「Eコマース交通分析のための供給側モデルの開発研究」

    令和3年度科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)・研究活動スタート支援 研究代表/21K20445

    2021年9月~2023年3月

    2,730千円

    「令和2年度 既存データを用いた交通動向分析手法に関する研究」

    ㈱高速道路総合技術研究所との共同研究

    2020年10月~2022年2月

    1,760千円 分担

    「ダブル連結トラックおよび貨物車隊列走行を考慮した道路インフラに関する技術研究開発」

    国土交通省道路局「道路政策の質の向上に資する技術研究開発」受託研究

    2021年5月~2022年2月

    24,880千円 分担

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