海洋物理学研究室では、海洋で起こる様々な物理現象について、
その要因や機構を観測や数値実験により解明し、予測するための研究
に取り組んでいます。
※ 研究室で取組中のプロジェクト
南極海南大洋の研究「深層大循環の変貌を探れ」
温暖化に伴う南極底層水の変質機構の解明、子午面循環への影響評価、氷床融解機構の解明

日本沿岸の研究「人間社会の持続可能なの海の環境を守れ」
沿岸急潮予測の予測や強い流れの発生機構、海水交換機構の解明

台風に伴う急潮(沿岸捕捉波)の発生過程のシミュレーション例
海洋には様々な物理現象があり、いろいろな時空間スケールで我々の生活に影響を及ぼしています。
気候変動に影響を及ぼす海洋深層大循環は千年スケールのゆったりとした循環と捉えがちですが、
その源である底層水の生成量や水塊特性の変化は海洋波動や気象現象を通じて、数十年やそれより
もさらに早く我々の身近な環境の変動へと影響を及ぼすのではないかと思われます。我々は、変動
の兆候をいち早く捉え、解決策を講じる必要がありますが、その手立ての基礎には、海洋の各物理
プロセスについての基本法則の解明があると言えるでしょう。そして、様々な物理現象を定量的に評価
して、予測に反映させる必要があるわけです。極域における研究は、それほど遠くない将来においても
持続可能な生活環境を確保するうえで重要です。その一方で、我々は災害から身を守り、食料を確保
しながら日々の生活をおくらなければなりません。この観点から、沿岸域における海洋環境の保全と
防災を目指した素過程・物理現象の解明も重要と考えています。
海洋物理学で何をみている?
サンプルは無色透明の水ばかり、得られる観測データは点か瞬間で、難解なものばかり・・・さらに、
どんな力持ちが押してもズブリズブリまさに「暖簾に腕押し」です。とらえどころが無い海ですが、力学
を知ると少しだけ見えてくるものがあります。難しいことを難しく説明するのは大変な割に面白くないの
ですが、難しいことを簡単な力学で説明するのは痛快で面白いのです。広大な海も箱庭のように思え
てくるかもしれません。
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*研究室で取り組んでいる主な研究テーマ*
(a) 南極海底層水の生成と変質機構の解明
(b) ビンセネス湾(VB)沖南極底層水の流動特性
(c) 南極海における表層低塩分水の拡散評価
(d) 南極海発散帯における乱流混合と湧昇流量の評価
(e) アルゴフロートデータを用いた南大洋海洋構造の変化
(f) 南極周極流の構造と近年の変動および中規模渦の効果
(g) 黒潮流軸変動によって発生する相模湾の急潮に関する研究
(h) 東京湾外湾における内部潮汐の共鳴増幅機構
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News: Vincennes Bay(VB)ポリニヤが、Cape Darnleyに引き続き、第5番目の南極底層水の生成域として、発見確認されました(Kitade
et al., 2014) <=> これまで、南極底層水の生成は、ウエッデル海、ロス海、アデリランド沖だけ?と考えられていたのに、新たに、2つの底層水生成域の発見に貢献するなんて、海鷹丸エライデス。
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VBと言えば、やはりこれです

船から見るオーロラ |
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いつもお世話になっている海鷹丸
番外編:オトリ作戦

何にでも興味を持つオオフルマカモメ
からの攻撃をそらすのだ |

Pモン型氷山

上がモコモコ、下がシュッとした雲です!先生、これ二重拡散対流ですか?
ウム、海の中もこのように可視化できたら良いのだがのう...
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