環境関連建物
データベースの構築
 COP3(京都議定書)以降も産業・運輸・民生用エネルギーのうち、民生用のみ(特に建物関連エネルギー)が増加の一途であり、IPCC報告や主要なサミットなどでも、建物起源のエネルギー削減が温暖化防止に有効との統一した見解が出されている。そこで、国交省、環境省、経産省などの支援を受け、日本全国の各種建物用途における消費エネルギーデータベースを構築し、これを詳細に解析することにより、建物起源の温暖化ガス削減方策を提案することを目的とする。
 なお、月間エネルギー使用量や建物概要を示す基礎データベースは統計的に有意であり、HP上で無償ダウンロードが可能である。また、データベース上で解析不能な建物用途については実測を行い、そのエネルギー消費構造を把握する。

一般社団法人 日本サステナブル建築協会(JSBC)
 http://www.jsbc.or.jp/decc_download/


数値シミュレーション
による街区最適
エネルギーシステム
の検討
 例えば田町のJR操車場跡地などの大規模な再開発事業では、街区の形成において最適なエネルギーシステムの選択は、省エネルギー・省CO2の観点から極めて重要である。そこで、計画段階において、熱源システムや冷温熱媒体の搬送システムなどについて、詳細な数値シミュレーションを行い、試算結果から最適なエネルギーシステムを提案する。また、これらの街区同士を有機的にリンクする次世代スマートエネルギーシステムについてもその範疇とする。なお、街区を形成する各建物用途エネルギー需要量は上記のデータベースも活用する。





エネルギーの多消費性を
有する熱源システムの
性能評価法の開発
 一般に、空調機器などの熱源機器は、建物総エネルギー使用量の40%以上を占める。したがって、同システムの省エネルギー化は、建物エネルギーの削減に直接的かつ大きく関与する。この解決には、ユーザーサイドで簡易に性能を評価し、これを明示する手法が効果的である。本研究室ではこれらを独自に開発し、実用化に至った。次のステップとして手法の異なる精度向上や同性能をリアルタイムで表示し、省エネルギー意識を啓発する装置の開発を行う。





都市域で発生する
熱環境負荷量の評価と
廃熱処理手法の検討
 地球規模での熱汚染問題の根幹は、都市で高密度に消費するエネルギーに起因する。したがって、この問題解決には、熱環境負荷となる諸量を定量化し、これをベースに廃熱総量のガイドラインの策定や廃熱特性を考慮した捨て方の検討が必要になる。幸いこのような廃熱の温度レベルは低く、その捨て方に自由度が高い。今後は都市エネルギーに関するインベントリー分析を行い、その結果から環境親和性の高い廃熱処理手法(顕熱・潜熱形態、河川海洋など)を提案する。