システム制御設計論

                                     

第4章.状態フィードバック制御(レギュレーター):

    極配置と最適レギュレータ

 

線形システムの制御問題として最も基本的な問題は、レギュレータ問題という。これは、形式的にはシステムの非ゼロの状態をゼロに収束させる問題である。即ち、システム 

に対して、制御

を行い、全体のシステム

の状態が にすることです。

 

具体的には、定値制御がこの様な問題に帰着することができる。

例えば振動抑制問題が直接この形の問題になる。振動が起こらないときのシステムの状態をゼロとするとき、振動が起こって、ある振幅が発生するから、状態がゼロでなくなり、状態変化の速度も生じる。こととき、振動を抑えることは、再びこの状態を元のゼロという値に回復させることです。このときの制御が純粋に  の形になる。

一方、現実の多くのシステムは、システムのすべての状態をゼロに収束させるのではなく、出力yを一定値に保つことが要求される。すなわち、がシステムの状態の平衡点となる。 このような場合に対して、

1)制御入力は  の形となり、vはシステムの出力を維持するための入力成分で、-Kx は、状態が平衡点から離れた場合、それを平衡点に戻すための制御入力である。

2)平衡点に(状態)座標の原点をおき、状態方程式を書けば、状態がゼロへ収束システムとして定式化できる。

 

例: ロボットアームの運動方程式:

       

   制御目的:

  解:平衡点: 

    状態変数設定: 

    

      

    よって、T1をもとめる問題はレギュレータ問題である。状態フィードバック

      

    をもとまると、全体の制御入力は

       

    となる。

 

1−3: タンクの水位 タンクの水の流入量を、流出量をcとする。タンクの断面積:A、水位をHとする。

    

    線形化: 

    

       

 

制御  、vが上の状態xがゼロに収束するように決める。 

 

A.極配置方法

  A+BKの固有値を予め安定なn個 を指定する、そこからKを逆算する。

  この設計法はここで人間的要素が入ります。理論的には固有値が負の実部を持つなら、このシステムは安定であるので、の値としては、無限の選択があのうである。つまり自由度があります。個別なシステムに対して、どのような固有値をすべきかはもう理論的には分かっていません。ここでまた試行錯誤でこのシステムに適する固有値を見つけるしかないです。

 

B.         最適レギュレータ問題と解法

ことば通り、これはレギュレータ問題の最適解をもとめる。つかり、状態フィードバック制御のKを求めるとき、もっともよいものを求めようとすることです。もっともいいものはあらゆる方面に関してよいものと考えがちですが、実際はこのような完璧なものはできないので、だいたいある方面にかんして一番よいであれば、それが最適とよびます。われわれ生活のなかにもこれについて経験があります。いいものを買おうとすると、値段が高くなります。ものがよくて値段も飛び切り安いのがなかなか買えません。従って、値段でこだわるか、品物でこだわるかのどちらかになります。ここで、最適な制御システムを作ろうとしても、ある特定な性質に関して最適なシステムを作ることしかできません。この特別によい性質は定量的に評価するのが普通である。これは評価関数と呼ばれるものです。

 

最適レギュレータ問題:

与えられた制御対象  に対して、制御

 

   を以下の条件を満たすように求めよ。

1)       閉ループシステムが安定、

 

補助説明:

B-1) 2次形式について

  ベクトルの各要素の2次の項の線形結合式を2次形式という。

  

 

 

 

B-2) 評価関数の意味合い

  数学的にはそれぞれ xとuの2次形式という。

  工学的な意味は、それぞれ状態が平衡状態(ゼロ状態)からのズレの絶対値と入力の絶対値の2乗と対応し、積分した式の値を最小化することは、軌道が原点へ収束するプロセスが原点から大きく離れることがないように、そして、必要な入力も小さくなるようにすることです。

 

B-3) 解の形:

   

解の確認:

    1  閉ループシステムが安定 

2  がJを最小化する。

 

 確認1を行うために、ここでは、Lyapunov安定判別法を用いる。

   

確認2

よって

  

 

(解の証明をするためには、任意の解がこのuの形をすることを示す必要がある)