溝端 浩平 / Kohei Mizobata
科研費 基盤研究(A)・2026–2030年度

東南極における氷床融解を駆動する海洋熱輸送とその変動要因の全容解明

本研究では、トッテン棚氷・クック棚氷周辺を主対象として、現場観測、衛星観測、数値モデルを組み合わせ、 東南極沿岸へ暖水が輸送される過程と、その変動を支配する大気・海洋要因を明らかにします。

東南極 トッテン棚氷 クック棚氷 海洋熱輸送 ASC / ASUC 中規模渦 現場観測 数値モデル

このページの構成

科研費 基盤研究(A)として採択された研究課題の概要を紹介するページです。 研究成果、航海・観測情報、発表論文などは今後このページに随時追加します。

研究課題 東南極における氷床融解を駆動する海洋熱輸送とその変動要因の全容解明

研究期間 2026–2030年度

研究種目 科研費 基盤研究(A)

研究概要

東南極氷床は、これまで比較的安定と考えられてきました。しかし近年、トッテン棚氷やクック棚氷周辺では 氷床質量損失が顕著であり、棚氷下へ到達する海洋熱輸送の理解が重要になっています。

本研究では、沖合海盆から大陸棚斜面、大陸棚上、そして棚氷前面へ至る熱輸送経路を、 中規模渦、Antarctic Slope Current(ASC)、Antarctic Slope Undercurrent(ASUC)、 沿岸域の時計回り循環などの観点から統合的に調べます。

特に、偏西風の強化や SAM・ENSO・IOD などの大気場変動が、東南極沿岸循環と暖水輸送をどのように変調し、 将来的な棚氷融解に結びつくのかを、現場観測と数値実験の両面から検証します。

研究の問い

なぜ特定海域で融解が強いのか

トッテン棚氷・クック棚氷周辺で氷床質量損失が顕著になる力学的背景を、海洋循環と熱輸送経路から明らかにします。

暖水はどの経路で棚氷へ届くのか

海盆域の中規模渦、ASC/ASUC、沿岸の時計回り循環を結びつけ、沖合から棚氷前面までの熱輸送過程を追跡します。

大気場変動は熱輸送をどう変えるのか

SAM・ENSO・IOD などに伴う風系変化が、沿岸循環と暖水輸送を強化・抑制するメカニズムを評価します。

研究方法

A. 現場観測による海洋熱輸送プロセスの実態把握

2026–2028年度を中心に、日豪共同観測により東南極 110–150°E 周辺の海盆・大陸棚斜面・大陸棚上を観測します。 XCTD、ADCP、係留系、グライダーなどを用いて、ASC/ASUC と中規模渦が関わる熱輸送を高解像度で捉えます。

B. 数値モデルによる熱輸送過程の再現・評価

観測で得られた流速・水温・塩分構造を用いて、東南極沿岸域の高解像度海洋モデルを評価し、 熱輸送メカニズムの再現性を検証します。観測だけでは捉えきれない時空間変動を、モデルにより補完します。

C. 大気場変動に対する感度実験

2029–2030年度には、偏西風や大気場パターンを変化させた感度実験を行い、 東南極沿岸の時計回り循環、ASC/ASUC、棚氷方向への熱輸送がどのように応答するかを定量化します。

  • 2026–2028年度日豪共同観測、係留系・XCTD・ADCP・グライダー観測、観測データ解析
  • 2026–2028年度観測と連携した熱輸送プロセスの再現・評価
  • 2029–2030年度大気場変動に対する感度実験と、熱輸送メカニズムの一般化

研究組織

現場観測、衛星解析、数値モデル、大気場変動解析を組み合わせた研究体制です。

研究代表者の写真

溝端 浩平

研究代表者
現場観測・衛星解析・研究総括

研究分担者の写真

平野 大輔

研究分担者
現場観測・棚氷前面海洋過程

研究分担者の写真

草原 和弥

研究分担者
南極海高解像度海洋モデル

研究分担者の写真

佐藤 和敏

研究分担者
大気場変動解析・感度実験

図で見る研究

東南極沿岸域の海洋熱輸送経路
図1:トッテン棚氷周辺における海洋熱輸送経路の概念図。海盆域の巨大定在海洋渦列、中規模渦輸送、極向き熱輸送、 大陸棚上の時計回り循環が、棚氷方向への暖水輸送に関わる。
東南極沿岸の氷床質量損失と時計回り循環
図2:東南極沿岸域における氷床質量損失と、偏西風強化に伴って活発化する沿岸域の時計回り循環。 トッテン棚氷・クック棚氷周辺の変化に注目する。
トッテン棚氷周辺の熱輸送メカニズム概念図
図3:海盆から大陸棚斜面・棚上へ至る熱輸送メカニズムの模式図。 中規模渦、Sabrina Gyre、ASC/ASUC が熱輸送過程の鍵となる。
研究実施体制とスケジュール
図4:研究実施体制とスケジュール。2026–2028年度に観測とモデル評価を進め、 2029–2030年度に大気場変動に対する感度実験へ展開する。
研究対象海域と船舶観測ライン
図5:研究対象海域および船舶観測ライン。しらせ、海鷹丸、Investigator、Nuyina による日豪共同観測を通じて、 東南極 110–150°E 周辺の熱輸送過程を調べる。

成果・更新情報

論文、学会発表、航海情報、データ公開情報などは、研究の進捗に合わせて順次掲載します。

  • 2026年度 科研費 基盤研究(A)として研究開始予定。
  • 2027年 日豪共同による東南極沿岸域の集中観測を予定。
  • 2028年度以降 観測成果を反映した数値モデル実験と感度実験へ展開予定。

関連情報

本研究は、南極海の現場観測、衛星観測、数値モデリングを結びつけ、 氷床・海氷・海洋・大気の相互作用を理解することを目指しています。

このページは研究紹介用の初版です。図表、成果、共同観測情報は今後更新します。