なぜ特定海域で融解が強いのか
トッテン棚氷・クック棚氷周辺で氷床質量損失が顕著になる力学的背景を、海洋循環と熱輸送経路から明らかにします。
本研究では、トッテン棚氷・クック棚氷周辺を主対象として、現場観測、衛星観測、数値モデルを組み合わせ、 東南極沿岸へ暖水が輸送される過程と、その変動を支配する大気・海洋要因を明らかにします。
東南極氷床は、これまで比較的安定と考えられてきました。しかし近年、トッテン棚氷やクック棚氷周辺では 氷床質量損失が顕著であり、棚氷下へ到達する海洋熱輸送の理解が重要になっています。
本研究では、沖合海盆から大陸棚斜面、大陸棚上、そして棚氷前面へ至る熱輸送経路を、 中規模渦、Antarctic Slope Current(ASC)、Antarctic Slope Undercurrent(ASUC)、 沿岸域の時計回り循環などの観点から統合的に調べます。
特に、偏西風の強化や SAM・ENSO・IOD などの大気場変動が、東南極沿岸循環と暖水輸送をどのように変調し、 将来的な棚氷融解に結びつくのかを、現場観測と数値実験の両面から検証します。
トッテン棚氷・クック棚氷周辺で氷床質量損失が顕著になる力学的背景を、海洋循環と熱輸送経路から明らかにします。
海盆域の中規模渦、ASC/ASUC、沿岸の時計回り循環を結びつけ、沖合から棚氷前面までの熱輸送過程を追跡します。
SAM・ENSO・IOD などに伴う風系変化が、沿岸循環と暖水輸送を強化・抑制するメカニズムを評価します。
2026–2028年度を中心に、日豪共同観測により東南極 110–150°E 周辺の海盆・大陸棚斜面・大陸棚上を観測します。 XCTD、ADCP、係留系、グライダーなどを用いて、ASC/ASUC と中規模渦が関わる熱輸送を高解像度で捉えます。
観測で得られた流速・水温・塩分構造を用いて、東南極沿岸域の高解像度海洋モデルを評価し、 熱輸送メカニズムの再現性を検証します。観測だけでは捉えきれない時空間変動を、モデルにより補完します。
2029–2030年度には、偏西風や大気場パターンを変化させた感度実験を行い、 東南極沿岸の時計回り循環、ASC/ASUC、棚氷方向への熱輸送がどのように応答するかを定量化します。
現場観測、衛星解析、数値モデル、大気場変動解析を組み合わせた研究体制です。
研究代表者
現場観測・衛星解析・研究総括
研究分担者
現場観測・棚氷前面海洋過程
研究分担者
南極海高解像度海洋モデル
研究分担者
大気場変動解析・感度実験
論文、学会発表、航海情報、データ公開情報などは、研究の進捗に合わせて順次掲載します。
本研究は、南極海の現場観測、衛星観測、数値モデリングを結びつけ、 氷床・海氷・海洋・大気の相互作用を理解することを目指しています。
このページは研究紹介用の初版です。図表、成果、共同観測情報は今後更新します。