スマートフォンを用いた倉庫内作業プローブシステムの概略
本システムの目的は、作業者の時々刻々の“小さな声(定量的に作業管理者に伝えることが難しい、作業の大変さ)” を低コストかつ低ストレスで定量的に計測することです。システムは上図に示す通りです。 このシステムでは、アプリをインストールしたスマートフォンを胸ポケットにいれるだけで、熟練の管理者と同等レベルの、作業計測・分析が行えます。
このシステムは、姿勢・動作・要素作業レベルでの作業分析ができます。これにより現状の問題点の把握や、実施した改善策の効果算出、機械化の効果推定ができます。現状の問題点の把握では、例えば、腰痛リスクの可視化、非効率な動作検出、ボトルネックとなっている要素作業の把握が可能です。
分析結果(報告書)は、クラウドサーバからExcelファイルでダウンロードできます。
本システムの必要性
人>機械
労働集約型産業(物流現場や製造現場)では、労働力不足が深刻です。どうしても機械化が難しい作業が多々あり、全ての業務を機械化することは、技術的にも、経営的にも合理的ではありません。そのため、生産性向上には、人の作業計測・分析を行い、現場改善するしかありません。
機械化の効果推定は難しい
機械化仕様と思っても、この導入効果を事前に正確に計算することができなければ、なかなか機械化は進みません。また、この計算は現在の人が行っている作業を計測する必要がありますが、現在のところ、実用的な計測システムはありません。
現場の管理者は忙しい
労働力不足のため、管理者が現場で作業することも多々あります。日々の業務に追われ、なかなか管理業務が行えないのが現状です。
管理は大変
管理の時間も十分に取れず、さらに個々の作業者の姿勢・動作・要素作業を安価かつ簡易に計測できるシステムがないため、経験や勘に頼っているのが現状です。そのため、管理の質にばらつきが発生します。
自己評価は難しい
もし作業者が、現場の作業や自己評価を正確にできればよいのですが、約100名を対象に研究調査を行ったところ、最も正解率が高い事柄でさえ、正解率は50%に届きません。また、生産性が高いのに低いと思っている人、またその逆もかなりいます。動作レベルでは、さらに正解率は下がります。そのため、適切な指導・教育が必要です。
利用する機材
本システムで計測できる作業(2022年5月現在)
人力による運搬や荷役作業・フォークリフトの運転
計測・検出可能な事柄(2022年5月現在)
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特許
発明の名称 | 発明者 | 特許番号 | 登録日 |
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作業推定装置、作業推定方法、および作業推定プログラム | 麻生 敏正 | 特許第6738084号 | 令和2年(2020年) 7月21日 |