研究へのアプローチ

図1.プロジェクトのコンセプト
図1.プロジェクトのコンセプト

研究へのアプローチの概要

プロジェクトの戦略をより明確にするためにプロジェクトを「5つのプログラム」に分けました。

図1は、このアプローチのコンセプトを表したものです。

S4のシステムはS1、S2、S3のモデルを改善するために使われ、S5(多様性の変動の評価)をするためにS1とS2(生体モデル)はS3(高解像度3次水理モデル)に合同されます。

S1. マルチスケール多様性の統計モデル

生態学的に意味がある種多様性の測度として、種間遭遇確率(probability of an interspecific encounter、PIE;Hurlbert 1971)を使用することを提案します。

具体的に

Nは総生物量(バイオマス)、piはNに対する寸法iの割合、Sはサイズ階級の総度数です。

本プロジェクトの仮説は、 PIEは温度や塩分や溶存酸素(dissolved oxygen, DO)やChl.a、栄養物や光線等の環境変数の関数です。

具体的に

S2. 新たなプランクトン生態系モデル

観測Chl.aデータは非常に間欠(図2)ですので、このChl.aデータは平均と変動成分の総数として扱われるべきです。Chl.aはという<Chl.a>平均と変動成分に分解します。

図2.様々なサンプリング方法からのクロロフィルシグナルの平均と標準偏差
図2.様々なサンプリング方法からのクロロフィルシグナルの平均と標準偏差

この観察された事実に基づき、平均と変動成分のための新たなNPZモデルを開発する予定です。ですから、以下の通り、各変数を分解します。

Nは栄養物を表し、Pは植物プランクトンを表し、Zは動物プランクトンを表します。

S3. 高解像度3次水理モデル

小領域モデルSUNTANSは、広域モデルROMS入れ子にされます(図3)。

この結合された高解像度3次水理モデルは黒潮の蛇行パターンを再現し、S1とS2からの生物学的なモデルも含まれます。結果的に、この生物学的な水理モデルはマルチスケールで伊豆大島沿岸周辺の多様性の動態を再現します。

図3.小領域モデルSUNTANSは、広域モデルROMSに入れ子にされます。
図3.小領域モデルSUNTANSは、広域モデルROMSに入れ子にされます。

S4. 生物多様性及び環境モニタリングシステム

図4.固定式観測システムのOCEANSの設置イメージ
図4.固定式観測システムのOCEANSの設置イメージ

モデルの改善のため、伊豆大島の沿岸周辺で生物学的パラメータと物理的パラメータを収集するOshima Coastal Environmental data Acquisition Network System (OCEANS)という固定式観測システム(図4)を使用します。 本システムは、プランクトンカメラがEMPとケーブル観測システム(cabled observatory)に一つずつ設置されています。

本システムは、EMPに設置されているプランクトンカメラと係留システムやケーブル観測所(cabled observatory)があります。

図5と同じようなプランクトンの画像を撮ります。

図5.プランクトンの画像(2009年5月の黒潮周辺海域における海洋観測)。
図5.プランクトンの画像(2009年5月の黒潮周辺海域における海洋観測)。

OCEANSの計測項目:

Physical(物理)

Biological(生物)

Chemical(化学)

Engineering(工学)

S5. S3による、生物多様性の予測

以上の通り、S4(モニタリングシステム)は、S1, S2, S3のモデルを改善するために使用されます。

その後、S5(多様性の変動の評価)を完成するためにS1とS2(生体モデル)はS3に合同されます。