電池推進船に関するご質問をいただきました。 以下に掲載いたします。

 Q 1  エンジンとモーターとのハイブリッド船はできないのか。

A 1
  車のハイブリッドの特性は、

  1. 内燃機関には、最も効率の良い回転数がある。
  2. その回転数で定速走行をする時の燃費がもっとも良い。
  3. 車は信号などの発進停止が多いので、常に最も効率の良い回転数では動いていない。
  4. 内燃機関を常に最も効率の良い回転数で動かし発電し、低回転時(発進時)の出力不足をモーターでカバーし、停止時の回生余剰出力を電池に貯めるのが、ハイブリッドである。
  5. ハイブリッドは、発電機・モーター・電池など電気部を搭載するため重量が重くなり、かつそれぞれの電気部の効率は100%でない。
  6. したがって、車が常に最も効率の良い回転数で長く走れるような条件では、ハイブリッドより普通の車の燃費のほうが良い。
  7. このため、平地高速道路の走行が多いヨーロッパでは、ハイブリッド車よりディーゼル車の販売台数が多い。

  これに対して船は、

  1. 船は信号や坂道がないので、速度の変動が車に比較して少ない。
  2. 停止時にはプロペラの逆回転が必要で、回生エネルギーは生じない。
  3. 船の内燃機関は、通常最も効率の良い回転数が使われる。
  4. したがって、船舶でのハイブリッドはその利点を生かす使用範囲が車に比較して非常に狭い。
 Q 2  ハイブリッド船の建造の可否について聞かれたら、「出来るけどメリットも少ないし余計に高価になる。」という答え方をすればよろしいでしょうか?

A 2
  その通りで、少なくとも小型船では「費用対効果が少ない」ということです。
  船舶の負荷変動は自動車に比較すれば少ないですが、ある程度はあるので高価な船または大型船ではハイブリッドは有効です。
  そのような船の例としては、ドイツ船市販や計画(NYK)があります。
  なお通常内燃機関で航行し、養殖地域など電気航行が必要なところで電池によるモーター航行に切り替える方式も考えられます(この方式は切り替えなのでハイブリッドではありません)。このような方式も推進系を2系統持たなければなりませんので、重量的・価格的に不利になりますが、特定の使用ではメリットを活かせるので開発建造される可能性はあると思っています。