・過熱水蒸気による食品の調理(共同研究:(株)シャープ)
過熱水蒸気とはボイラで得られる飽和水蒸気に等圧加熱を行なうことによって得られる乾燥した高温の水蒸気のことです。現在ではSHARP社から発売された「ヘルシオ」の熱源として用いられているので,皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか? この過熱水蒸気で食品を加熱すると何故だか美味しく焼けると言われており、さらに、肉などの調理やフライや天ぷらなどの揚げ物の再加熱の際にオーブンや電子レンジよりもたくさんの油が落ちるとも言われています。
実際に食品を過熱水蒸気で焼いてみて、どういった理由で美味しく焼けると言われるのか、本当に油はたくさん落ちるのかなどを検証しています。
・真空低温調理を利用した新容器詰め食品の開発(共同研究:大和製缶(株))
素材の美味しさを保持する手法として注目されている真空低温調理。この工程を伝熱工学的に解析し、品質の高い容器詰め食品の開発へ応用することを目指します。
・魚の最適調理加熱(Baking/Roasting/Frying)に関する研究
炭火焼の美味しさ、その伝熱メカニズムを明らかにします。
また、高温焼成に伴う焼き色の変化の定量化に取り組んでいます。
・プロ料理人調理の解析
肉や魚の焼き方からビーフシチューまで、様々な調理には、様々な方法、技術、教えがありますが、プロでも素人でも必ず上手に焼けるという方法は、今のところ確立されていません。また、プロが経験的に行っている調理が、何を判断基準として行っているかも必ずしも明確ではありませんね。我々は、世の中で名人と呼ばれる一流の料理人等と調理・科学研究チームを結成し、プロのテクニックの科学的定量化を目的として、最適な調理過程の解析を行っています。
・薫製品製造過程の解析(共同研究:花木工業(株))
畜肉薫製品(ハム)の製造工程での伝熱、物質移動(塩分の浸透、薫煙の吸着)、反応(呈色)を定量的に解析します。
・IH調理とガス調理の比較(共同研究:(株)東京電力)
加熱様式の違いによって鍋内の温度、対流がどのように異なるのか、さらに調理に及ぼす影響を明らかにします。
・マイクロ波加熱によるサツマイモの糖度コントロール
省エネルギー化かつ連続化生産可能になる加工技術、マイクロ波加熱を利用して、目的の糖度を有するサツマイモを調理します。
・マイクロ波加熱による炊飯の解析
マイクロ波加熱による炊飯は、電気炊飯器での炊飯と大きく異なります。釜内の伝熱様式の違いを明確にし、飯一粒内の炊け具合(デンプン糊化)の違いを解明します。
・液状食品のマイクロ波加熱特性の解析
液状食品のマイクロ波加熱は一般的に難しいと言われています。加熱特性を解析し、さらに液状食品に対応した容器開発までを視野に入れた研究を行ないます。
【食品の殺菌に関わる研究】
殺菌条件の最適化やあらたな殺菌手法の開発を目指します!
・赤外線を利用した薄層流式殺菌装置の開発(共同研究:NPO食品サニタリ技術協会)
焦げ付きにくく構造が簡単で洗浄しやすい殺菌装置の開発に向けて、装置の殺菌能力について検証を行っています。その第一段階として、現在は菌の耐熱性について調べています。装置における対象食品の最適な殺菌条件を導き出すことが最終的な目標です。
・マイクロ波加熱対応の液状食品開発およびマイクロ波殺菌の検討
温めて飲むようなスープ類を、食べる際の簡便性から『液状』で電子レンジ対応容器に詰めた形として売り出すことは実現可能かという検討をしています。
レンジ加熱を施す際、加熱ムラや粘度が起因して吹きこぼれや突沸による容器転倒など安全上の問題が起こるため、現在その多くは『粉末タイプ』で販売されていますが、これを`容器形状の工夫´という観点から加熱パターンを変えることで問題解消へアプローチをしています。
また、食品のマイクロ波殺菌実験も行っており、従来の殺菌法と加熱時間や品質劣化度合の比較等から有効性を調べています。
・缶詰高粘性流体の殺菌時における温度予測
・非加熱殺菌法の開発
【物づくり:新たな食品の創生】
健康に良い、美味しい食品を世に送り出すとともに、加工に要するエネルギーの削減、廃棄物の軽減を視野に入れた食品開発を目指します。現在、次の3テーマが進行中。
・過熱水蒸気を利用したフライ様食品の開発(―)
今日、冷凍食品やお惣菜など様々なフライ食品を見かけますが、それらを食べたときに油っぽいと感じることが多くあります。
そこで、過熱水蒸気を用いて脂質含量の少ない新しいフライの様な食品が出来ないかと考えました。過熱水蒸気は完全に気体状態の水でほとんど酸素が含まれていないことから、油の酸化や二次生成物の抑制が期待され、また「油で揚げる」という方法をとらないので、油を抑制するとともに、廃棄の油をなくすこともできると考えられます。
・低カロリー麺の開発(−)
ラーメンの麺のカロリーを軽減することを目的とした研究を現在進めています.背景として,ラーメンは老若男女に人気がありますが,1杯あたり660kcal(醤油ラーメン)と成人男性の一食あたりの平均カロリー600kcalを超える高カロリー食品といえます.
また,健康志向の高まりや成人病,糖尿病予備軍人口の増加.体脂肪や体重などの体型が気になる人が増え,低カロリー食品が望まれていることが挙げられます.
また,将来的には弾性率や含水率などを用いて麺の評価をしたいと考えています.
・早茹で麺および早炊き米の作製(−)