衛星リモートセンシングを応用した海洋学(衛星海洋学)の紹介 東京海洋大学 大学院海洋科学技術研究科 海洋環境学部門 溝端 浩平 はじめに | 衛星搭載型地球環境観測センサーとそのプロダクト | 応用プロダクト・応用研究の例 | 今後の衛星海洋学 |
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繰り返しになりますが、衛星RSで何でもできるわけではありません。が、しかし様々な分野に応用されています。 さてWikipediaには、衛星海洋学とは「人工衛星による地球観測データを基に海洋の物理、生物、化学的な状態をリモートセンシングの手法によって求めるアルゴリズムを開発する工学的な学問」とあります。しかし、現在、すでに標準プロダクトとして広く使用されている海面水温、クロロフィルなどはアルゴリズムがほぼ完成されており(たぶん異論を持つ人もいる)、今や誰もが比較的簡単に衛星データを利用できる時代にあります。つまり、アルゴリズム作成だけが衛星海洋学というわけにはいきません。一方で、多くのプロダクトは手法の特性上、海洋表面に限られてしまうのが常であり、海洋に関する情報が全て得られるわけではありません。このような背景の中、今後の衛星海洋学は以下の5点を念頭に進むと考えられます。 ①4次元方向に変化する海洋を理解するため、海洋内部の情報を抽出する方法の創出、 ②既存プロダクトから2次・3次プロダクトへの昇華(例えばクロロフィルから基礎生産、漁場推定など)、 ③時空間方向により詳細なサンプリングを行う新規センサー開発(例えば10m級マイクロ波アンテナの採用など)、 ④海洋学に資する新たなパラメータ測定法の創出、 ⑤長期モニタリングによるClimate Recordの作成 とはいえ、人がいないと何もできないので衛星観測データを使って研究したい人、衛星観測データを見たい人、そんな方は私のところまで気軽に訪問してください。 今後行う予定の研究は、 ・海氷域(極域)における海洋循環の推定 ・太平洋~北極海~大西洋の海面力学高度の長期変動(太平洋←→大西洋の水循環) ・複数衛星観測による日本沿岸域の植物プランクトンのHot Spotの抽出とその要因の解明 ・静止海色衛星による日本沿岸域表層流速場推定 ・衛星データ・再解析データを利用したベーリング海における冷水塊形成量の推定 です。 |