国立大学法人 東京海洋大学

水圏環境教育学研究室

 水圏(海洋,河川,湖沼,水蒸気,雲等)とはどのような環境でなのでしょうか。

 地球の環境は大気圏,陸圏,水圏に分ける事ができます。大気圏には我々の呼吸に不可欠な酸素が存在し,陸圏は私たちの生活場所を与え,水圏には水が存在しています。いずれも無視できない環境であるが,中でも水圏に存在する水は,大気圏,陸圏,水圏を循環し,地球上のほとんどの生命にとって不可欠な物質です。

 太陽から同じ距離にある月と地球の表面温度を比べてみましょう。太陽に照らされる月の表面はプラス100度,逆に太陽が当たらない面ではマイナス150度になります。一日に250度も変化することになります。一方,地球は平均温度が15度と安定しています。なぜこのような違いが生じるのでしょうか?その理由は、水の存在にあります。水は約70%の地球表面を覆い地球の温度を安定化させる働きがあります。また,水圏は飲料水,農業用水,工業用水を提供するばかりでなく,水産資源の供給や舟運の場としても重要な役割を果たしています。世界4大文明は,ナイル川,黄河,チグリス-ユーフラテス川,インダス川の大河のもとに築かれました。現在も多くの都市は河川流域,沿岸域に集中しています。このように水圏は地球環境を一定に保ち,私たちの日常生活や産業の基盤となる大切な環境なのです。

 ところで,環境とは「人間や生物をとりまき,それと相互作用を及ぼし合うものとして見た外界」(広辞苑)と定義されています。この定義を踏まえると,水圏環境とは「人間をとりまき,人間と相互作用を及ぼしあうものとしてみた水圏」ということになります。

 近年,地球温暖化,海水温の上昇,それに伴う異常気象,水産資源の減少,海洋汚染,地下水汚染等深刻な水圏環境問題が頻発していています。水圏環境問題は,私たちが普段目に触れることができないケースが多く,いつの間にかその悪影響が他の地域や国へ拡大し,取り返しのつかない状況を発生させます。

 しかしながら、このような水圏環境の重要性や問題を認識できる機会を私たちは十分に持っていません。その上,水圏環境教育を支えるリーダーが世界的に見ても不足しています。

 こうした中、2007年に海洋基本法が制定され、国民の海洋に関する理解を推進することが明記された。これを受け,国民の水圏環境の総合的な理解を推進する「水圏環境教育推進リーダー」の養成が,東京海洋大学水圏環境リテラシー教育推進プログラムとしてスタートしました。本研究室では,その中心的な役割を果たし,現在,アジア海洋教育学会,アメリカ海洋教育学会,ヨーロッパ海洋科学教育学会,国際環太平洋海洋教育者ネットワーク,そしてユネスコIOCの世界の海洋教育者と連携し,オーシャンリテラシーを共有し,水圏環境に関する課題解決のために,地域の方々とともに様々な実践的な教育活動と研究に取り組んでいます。

                                                                                                   研究室代表 佐々木剛  

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