本研究室の伊藤大智は、日本財団主催の英国・スコットランド ロバートゴードン大学(RGU)でのサマースクールに参加した。
2016年8月13日から9月10日まで約1ヶ月間、スコットランドのアバディーン(Googleマップ表示)に滞在した。
サマースクールの内容や学んだことは、日本財団のWebサイトに海外派遣の体験談として掲載されており、以下のURLからご覧いただけます。
http://project-kaiyoukaihatsu.jp/consortium/experiences_16.shtml
今回は、一般の方向けとして、体験談には書かなかったスコットランドに関する豆知識(トリビア)を24個紹介する。
24個のトリビアを、生活・観光・交通・政治経済の4つのジャンルに分類し、順に紹介する。
生活
・スコットランドの水道水は美味しい
理由は、スコットランドの水は日本と同じ軟水だから。現地の人に聞くと、スコットランドの水道水は安全なので飲んでも問題ないと言われる。実際に1ヶ月間飲んでみたが、おなかを壊すことは1度もなかった。
・スーパーはセルフレジが多い
自分で商品のバーコードを機械にかざして会計し、支払いも機械で行うセルフレジはどのスーパーにも設置してある。これはイングランドも同じだった。野菜などバーコードの付いていない商品や年齢確認が必要なお酒を購入するときは、店員のいるレジで会計する。
・お酒が買えるのは夜10時まで
法律で決まっているらしい。
・郵便局の入り口はスーパーの中にある。
すべての郵便局がこの限りではない
・ポケモンGOをやっている人はあまり見かけない
そもそも歩きながらスマホを操作している人がいない
・チップを渡すことはまずない
レストランに行っても、タクシーに乗っても、チップを渡すことはなった
・夏は夜9時でも明るい
緯度が高いから。サマータイムを導入している。上の写真は8月中旬の夜8時前に撮影
・料理は思ったほど不味くはない
特にスモークサーモンがおいしい(個人的な意見)
・ウイスキーはストレートで飲むのが基本
スコッチウイスキーに氷を入れて飲もうものなら、「お前はスコットランドをバカにしているのか?」とスコットランド人に怒られる。基本ストレートで飲み、水を入れるとしても少量で、味の変化を楽しむ程度
・治安は比較的良い
例えばパリに行ったときには、観光していると物売りや募金を称した物乞いによく絡まれたが、スコットランドではそのようなことは一度もなかった。
観光
・エディンバラ城のエントランスでチケット確認時に、東京ディズニーランドと同じ音がする
ディズニーランドの入り口でチケットをかざしたときに流れる「キラーン」(魔法にかかった音)である。ちなみにディズニーランドパリのチケット確認時には、東京ディズニーランドのようなキラーン音はせず「Welcome」という女性の声が流れる。
・エディンバラ城には現在も軍がいる
エディンバラ城はキャッスルロックという岩山の上に建てられていて、昔から要塞として使われてきた。現在でも軍が駐留しているが、この軍は敵が攻めてきたときに戦う軍ではなく、セレモニー用の駐留部隊である。8月にミリタリー・タトゥーという駐留部隊のイベントがエディンバラ城で開催される。
写真はエディンバラ城前のミリタリー・タトゥー会場。
・日本人が建設に携わった橋がある
エディンバラ近郊のフォース湾にかかるフォース鉄道橋。日本人技師の渡辺嘉一が建設に携わった。2015年に世界遺産に登録された。
参考:スコットランド紙幣の日本人 渡辺嘉一 英国ニュースダイジェスト
・グラバー邸がある
長崎にあるグラバー邸。トーマスグラバーはスコットランド出身。今回のサマースクールで滞在したスコットランド第3の都市アバディーンにはトーマスグラバーの実家がある。
交通
・鉄道は電車ではなく気動車
架線がある区間もあるが旅客は電車ではなく気動車しかない。貨物輸送に電気機関車を使うようだ。鉄道は日本の特急列車のようなサービスで、車内販売が必ずある。
・寝台列車だと思って切符を買ったら座席車だった
スコットランドとロンドンを結ぶ寝台列車「カレドニアン・スリーパー」の切符をレイルヨーロッパで購入した。寝台車だと思って買ったが、当日駅のホームに行って駅員に確認すると、その切符は寝台車ではなく、1両だけ連結されている座席車の切符であるとわかった。座席配置は2列
通路 1列、進行方向と逆向き(ロンドン行きの場合)、コンセントなし、消灯なし(ただしアイマスクがもらえる)のでいろいろ大変。切符を購入するときはご注意。
・スコットランドには地下鉄が1路線しかない
スコットランドの都市内での公共交通機関はバスがメイン。地下鉄が走っているのはスコットランドで最も人口の多い都市であるグラスゴーだけ。環状線になっている。
・日曜日、地下鉄の終電は夕方6時
グラスゴーの地下鉄、日曜日には夕方6時に営業終了する。まだ明るいのに終電を逃し、歩く羽目になった。地球の歩き方には載ってないので注意。
・バスでお釣りは出ない
スコットランドのバスの乗り方は、日本とは違う。乗車時に運転士に行き先を告げて、言われた料金を支払う。よって、目的地のバス停の名前は事前に知っておく必要がある。支払いは硬貨(コイン)のみ。紙幣は受け付けない。お金を入れるだけで、お釣りは出ない。一部おつりが出るバスもある。上の写真のバスに乗ったときはおつりをもらえた覚えがある。
・駅名の看板は、英語とゲール語両方の表記がある
まだスコットランドの一部地域では話者がいるというゲール語。スコットランドの駅の駅名表には、英語表記だけでなくゲール語表記もされている。
政治経済
・エディンバラにスコットランド国会議事堂がある
スコットランドは現在、憲法事項・防衛・外交・エネルギー等を除く分野に関する立法権が付与されて、独自の政府・議会が存在する。スコットランド国会議事堂は、2004年10月に開館した。スペイン出身の建築家によって設計され、モダンなデザインをしている。ウエストミンスターのイギリス国会議事堂は与党と野党が正面に向き合う座席配置をしているが、エディンバラのスコットランド国会議事堂は日本の国会議事堂と同じく半円状の座席配置になっている。
・スコットランドでは独自の紙幣が流通している
日本では紙幣は日本銀行が発行する日本銀行券のみだが、イギリスでは紙幣を発行している銀行は中央銀行だけではない。イングランドでは中央銀行であるイングランド銀行が発行しているエリザベス女王が描かれたポンド紙幣が流通している。日本で円からポンドに両替するときにもらえるのもこのポンド紙幣である。しかしスコットランドでは3つの銀行が紙幣を発行している。価値はすべて同じポンドである。ロンドンのスーパーでこのスコットランド紙幣を出したところ、一瞬驚いた表情をされ偽札でないか確認されたが、問題なく使用できた。使用を断られる場合もあるらしいので注意。それからスコットランド紙幣は国際的に認知されていない紙幣であるため日本円と両替できないので日本に持ち帰る際には注意。
・風力発電だけで全ての電力を賄う
スコットランドには多くの風力発電機(ウインド・タァヴァイン)が設置されている。2016年8月7日、涼しく電力需要の少ない夏で、スコットランド全土で強い風が吹いた影響で、風力発電による発電量が全電力需要を上回った。この1日間、スコットランドは風力発電だけで全ての電力を賄った。
出典:スコットランド、約1日間に渡って風力発電による発電量が全電力需要量を超過 BussinessNewsline
・ヨーロッパの石油の首都 アバディーン
スコットランド第3の都市アバディーンは、1970年代に北海油田が発見されてから石油産業で発展を遂げ、「ヨーロッパの石油の首都」と呼ばれる。