本文へスキップ

東京海洋大学電気動力研究室                       English
学 部:海洋工学部海洋電子機械工学科
大学院:海洋科学技術研究科海洋システム工学専攻

研究テーマ研究テーマ


大容量電池システムの船内AC電源系統への適用

CEO陸上と同じように、船内の電源系統では、三相交流(AC)電力が分配され、様々な負荷に電力供給されています。一方、省エネになる可能性やシステム全体のシンプル化が図れる可能性がある、という見立てから、直流(DC)配電システムの研究も盛んです。特に大容量電池システムを上手に活用することが電気システム全体の省エネ性を引き出すことが指摘されています。しかしながら、短絡事故の保護や構成機器の高コスト化という観点から、現時点では十分な利点が見出しにくいというのが実情です。このため、一般的な商船で採用が進むのにはかなりの時間が必要になりそうです。
 そこで本研究グループでは、船舶で一般的に採用される交流(AC)配電系統に大容量電池システムを接続し、上手に運用する方法を研究しています。特に船舶の発電機原動機である4サイクルディーゼルエンジンの特性を考慮した運用方法を提案することで、省エネ性などの利点が見出せる可能性がありそうです。本学所属の大型調査練習船のデータを元に、単なる妄想で終わらない、リアルなシステムシミュレーションを行っています。

関連発表論文はこちら


ビッグデータから読み解く可変ピッチプロペラの特性解析


CEO「どうして電気動力研究室でプロペラの解析を始めたの?」と良く聞かれます。ごもっともな質問です。これまで私たちは電気推進システムやハイブリッド推進システムについて研究してきました。そして、これらの推進システムについて深く考えれば考えるほど、「プロペラ」の特性を把握する必要があると感じてきました。
 そこで、流体力学を専門としない私たちではありますが、電気屋の視点からプロペラの特性を解析することにしたのです。本学所属の練習船で蓄積された膨大なデータを解析すると、驚くような特性が次々と明らかになってきました。もう、これがヨダレが出るほど楽しいんです。研究の成果は少しずつ学会等で公表する予定です。

関連発表論文はこちら


小型漁業船向けAIエンジニアの研究開発

CEO日本国内の漁船の多くは20トン未満の小型船に分類されます。これら小型船では、専任の機関士を乗船させる必要が無いため、運航コストが低くできます。一方、十分なメンテナンスがなされない場合があるため、エンジンや発電機関係のトラブルも多く発生します。また、省エネ運航もなかなか進みません。
 そこで、私たちは燃料消費状態を含むエンジンに関連する様々な状態をモニタリングし、メンテナンス作業の必要性や省エネ運航のためのアイデアを提供するサービスの提供を考えています。この技術にはエンジン状態の学習、把握、推定が常時必要となり、AI(人工知能)を利用することで実現できます。神奈川県水産技術センターの協力の下、研究開発が始まりました。

関連発表論文はこちら


誘導加熱用高周波インバータの研究

CEO誘導加熱は英語でInduction Heating。日本ではIHと略称で呼ばれます。そう、IHクッキングヒーターやIH炊飯ジャーが私たちの身の回りにありますね。誘導加熱技術は非接触で金属類を発熱させる技術で、キッチン回りだけでなく、様々な産業で使われています。一般的に誘導加熱をするには高周波インバータが必要です。私たちの研究グループでは、高効率で高性能な高周波インバータの開発を行ってきました。また、誘導加熱技術に関連する多くの企業の支援も行っています。

関連発表論文はこちら



WPT(ワイヤレス給電)

CEO水中探査機の動力源としてリチウムイオン電池を用いることが多いですが,その電池交換は容易ではありません。中でも,支援母船への探査機の引き上げ作業は,潜水士にとって危険な作業です。本研究室では,ワイヤレス給電技術を用いた給電ステーションを水中に設置し,探査機の電池の充電過程が水中で完結するシステムの構築を目指しています。探査機の着底位置や向きに関わらず安定した給電を実現するために,複数の送受電コイルの配置や複数電源を有するシステムの構築,送受電間が独立した電力変換器の制御の実現を目指しています。また,ワイヤレス給電には電気回路の共振現象が利用されますが,共振現象の振る舞いを理論的に捉えることも挑戦中です。

関連発表論文はこちら



AC-DC(バッテリ充電回路)

CEOバッテリ充電回路には,安全確保のための電気的絶縁,電源電流の正弦波化,出力電力(電流)の制御が同時に求められます。さらに,一般家庭でバッテリ充電回路を使用する際はコンセントなどの単相交流から電力を得ますので,単相交流の電力脈動をバッテリ充電回路内で吸収することも求められます。一方で,これらの要求を同時に満足するためには,複数台の電力変換器の接続や,複雑な制御を要求することが多く,また,電力脈動の吸収のために大容量コンデンサが必要なこともあり,装置の小型化や長寿命化の妨げになっています。本研究室では,電気自動車向け充電回路の小型化が実現可能な回路の構成を提案し,その制御法を検討しています。

関連発表論文はこちら



DC-DC

CEODC-DCコンバータ(直流-直流変換器)は,入出力間を絶縁した絶縁形や,絶縁しない非絶縁形に大別でき,多くのパワエレ研究者が研究しているテーマです。近年では,高周波絶縁形のDC-DCコンバータの研究が活発で,種々のDC-DCコンバータが研究されています。本研究室では,これまでの誘導加熱用電源への研究実績を基に,高周波インバータを組み合わせた絶縁形DC-DCコンバータの研究を行っています。また,絶縁形DC-DCコンバータを拡張したシステム構成についても検討中です。

関連発表論文はこちら



ハイブリッドタグボード

CEOタグボートはコンテナ船、原油タンカー、LNG運搬船、その他の大型船舶が安全に港に着岸・離岸できるようサポートする特殊船舶です。さほど大きくない船体に桁違いのパワーを持つエンジンを搭載していることが特徴で、大型船が出入りする港では、必ず見ることが出来ます。大出力のエンジンは数十万トンの船を押すのに欠かせませんが、いつもハイパワーが必要なわけではありません。必要な時に必要なエネルギーを効率よく生み出すことが省エネの第一歩。これを実現するため、タグボート向けのハイブリッド推進システムを提案し、その燃料消費節減の可能性について解析をしました(研究は終了しています)。

関連発表論文はこちら



リチウムイオン電池推進船に関する研究

CEOリチウムイオン電池は、あらゆるポータブルデバイスの電源として用いられることで、大量生産が進みました。その結果、性能は向上し、価格もこなれてきています。電気自動車のみならず、船でも使えるのでは、と考える人がいるは不思議ではありません。私たちが参画する研究グループでは、電池を主なエネルギー源とする小型船の可能性について研究してきました。そして2009年に国内最初の急速充電対応型電池推進船「らいちょうI」を建造しました。私たちは建造した電池推進船を小型客船に見立て、航海スケジュールに余裕を持たせ、充電作業時間を最小化するためのエネルギーマネージメントについて研究しました。(研究は終了しています)

関連発表論文はこちら


船舶用燃料消費シミュレーションの開発


CEO自動車の世界ではハイブリッド自動車や電気自動車の車種が増えています。大型船舶の世界においても、プロペラを電動機で駆動する電気推進船の推進システムのプロジェクトが目立ち始めました。
 ところが最も大事な燃料消費特性を冷静かつ冷徹に見つめるサイエンスの目、評価の目が満足でない事例が散見されます。この理由は、評価手法が確立していないことが一因と考えられます。
 そこで、私たちの研究室では、真に気候変動防止となる技術の開発を後押しするため、ハイブリッド推進システムも含む新型推進システムの燃料消費特性を評価するためのシミュレーションの開発を行っています。(本研究は終了しています)

関連発表論文はこちら