東京海洋大学 吉崎研究室

〒108-8477 東京都港区港南4-5-7

研究内容紹介Our Research

研究内容


1. 生殖細胞の異種間移植による代理親魚養殖技術の開発

2. 液体窒素の中で凍結保存した生殖細胞を宿主に移植することで、
 凍結細胞に由来する卵や精子を生産する技術の開発

3. 生殖細胞を試験管内で無限に増殖させる技術の開発

4. ゲノム編集によりDHA合成酵素遺伝子を改変することで、
 EPAやDHAを自力で生産できる海産魚の作出

5. サケマス類の繁殖回数の決定要因の解明

6. 養殖場からの逃亡魚による遺伝子汚染を防止するための
 不妊化技術の開発



1. 生殖細胞の異種間移植による代理親魚養殖技術の開発

魚類の卵や精子のおおもとの細胞である生殖幹細胞の発生学と、これを用いたバイオテクノロジー技術の開発。


この技術により、近い将来マグロを生むサバを作り出すことができそうです(図2)。
すでに、ニジマスの卵と精子を生産するヤマメを交配することで、
ヤマメ両親から、ニジマスのみを生産することに成功しています。(図1)


図1. ニジマスの配偶子(卵と精子)のみを生産するヤマメの作出








図2. マグロの配偶子(卵と精子)を生産するマグロ作出を目指した研究
      実験に使用するマグロ                  顕微鏡下での生殖細胞移植実験
       
                        



2. 液体窒素の中で凍結保存した生殖細胞を宿主に移植することで、凍結細胞に由来する卵や精子を生産する技術の開発

絶滅しそうな魚から生殖細胞を取り出して凍結保存しておけば、もしその魚が絶滅しても、近縁の魚を代理親魚に用いることで、絶滅種を復活させることが可能です。


凍結生殖細胞由来の卵や精子を生産する技術の開発



       
           米国 アイダホ州 Redfish Lake             Redfish Lake産のsockeye salmon

       
  左:アイダホ大学の研究者がsockeye salmonの生殖細胞を凍結保存している様子。
  右:凍結保存した生殖細胞から産まれたニジマス



3. 生殖細胞を試験管内で無限に増殖させる技術の開発

この技法が確立すれば、試験管内の細胞からサバを代理親魚としてマグロを作り出すことや、胚性幹細胞(ES細胞)の代用として利用することが可能です。



  培養によりin vitro(試験管内)で増殖した精原細胞。
 左列の緑色蛍光を発した細胞:精原細胞
 中央列の赤色蛍光を発色した細胞:増殖した精原細胞
 右列:重ね合わせ
(写真は、以下の論文から引用。
  S. Shikina et al. 2008.
  Culture conditions for maintaining survival and mitotic activity of
  rainbow trout transplantable A-type spermatogonia.
  MRD Vol.75(3),529-537.)



4. ゲノム編集によりDHA合成酵素遺伝子を改変することで、 EPAやDHAを自力で生産できる海産魚の作出を目指す

これが可能になれば、餌中に加えなければならない魚油を植物油に代替することが可能になり、より持続的かつ安全な養殖が実現できると期待されます。










5. サケマス類の繁殖回数の決定要因の解明

多くのサケは繁殖後に斃死しますが、ニジマスは何度も産卵が可能です。
生殖細胞移植技術を駆使してこの違いを生みだしている原動力を探究しています。






6. 養殖場からの逃亡魚による遺伝子汚染を防止するための不妊化技術の開発

養殖場から逃亡した家畜化された魚たちが野生の魚と競合したり、交配しあうことで貴重な天然資源に影響を与えている事が近年問題となっています。
この問題を解決するためにゲノム編集技術と生殖細胞移植技術を駆使することで、不妊魚の大量生産を目指します。



 

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